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今日のコラム 2008

◆今日のコラム◆    ※過去のコラムは、年別に収録しています。

2008/12/18

<自分で考え、自分で選び、行動できる子供に育てる!(その3)>

国際教育到達度評価学会(IEA)が公表した、2007年国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の結果が発表されました。

この調査は、各国の小学4年生と中学2年生を対象に実施され、日本の順位は小学4年生が算数・理科とも4位、中学2年生が数学5位、理科3位で、ほぼ前回(2003年調査)と同じレベルでした。

平均得点は中2の数学以外、わずかながら前回を上回ったことで、文部科学省は「学力低下傾向に歯止めがかかった」と分析しています。

しかし、ここで詳しくみてみると、IEAが調査している学力とは、「知っていれば解ける」いわゆる従来型・情報処理型の学力のことなのです。

それに対し、今教育関係者の関心を集めている、経済協力開発機構(OECD)のPISAが調査している学力とは、個々の知識や処理スピードではなく、「学んだことで何ができるか」という、知識の活用力、応用力、思考力、論理力、表現力などに焦点があてられています。

ですから、この二つの調査ではかっている力とは、全く別のものであることを、認識することが重要です。

マスコミの報道などをみていると、「フィンランドは学力世界一」、「学力世界一のフィンランドに学ぼう」という表現をよく目にします。

しかし、これまで一般的に「学力」ととらえられてきたのは、「情報処理型」の学力のことなのですから、「フィンランドは学力世界一」と評価するのは、大いに矛盾があるような気がします。

実際、
「学力とは何か」、「これからの子供たちに、本当に必要な力とは何か」と言う言葉の定義があいまいにされたまま、「PISAの順位が下がった」ことだけを問題にしていても、あまり意味はないと私(カニ先生)は考えます。

実は、フィンランドという国は、1992年からの教育改革で「ゆとり」を重要視し、従来型の学力よりも、PISA型の学力を選んだ国なのです。ですから、TIMSSの調査には、1999年からは参加すらしていない、と知り、私(カニ先生)は、「そこまで信念をもって教育改革を行ったのか」と、驚いてしまいました。

今回、私が親御さんたちに言いたいことは、これから新学習指導要領への移行がはじまり、学校の授業が詰め込みぎみになることが予想される中で、「学校での評価やテストの成績、ましてや塾での偏差値などに一喜一憂しないほうがいい」ということです。

今の学校や塾の現場では、「できないよりは、できたほうがいい」として「まずは、できるようにしてしまおう」という発想が、多かれ少なかれ見受けられるような気がします。

これは子供だけでなく大人もそうなのですが、「勉強とは覚えるもの」、「正解をすばやく出せるよう、繰り返し練習をするもの」という考え方が、これまで通用してきたこともあります。

日本では、テストや入試が終わると、勉強したことを忘れてしまう、とよく言われます。なぜかといえば、それは「テストのための勉強」だからです。

しかし、教科に限らず、たくさんの問題を練習して、「このパターンのときは、こういう答えを出す」という勉強の仕方を身につけてしまった多くの子供は、「勉強って苦しい」、「面倒くさくて、大変」、「いやなもの」という感覚に陥ってしまうのが現実です。

実は、学力低下論争と同時に、日本の子供たちの学習意欲の低さは、過去の様々な調査で毎回指摘されてきました。

2006年のPISAでも、テスト問題にどれだけ真剣に回答したかを聞く「意欲」の項目では、日本の平均値は参加国中最低であり、記述問題での無回答率の高さも目立ちました。

今回のTIMSSの調査では、「勉強が楽しい」と答えた子供の割合が、小学校4年生の理科を除いていずれの科目も国際平均を下回っており、中学2年生にもなると、「何のために学ぶのか」という意識は、驚くほど極端に低下してしまうのです。

(次回に続く)



2008/11/28

<自分で考え、自分で選び、行動できる子供に育てる!(その2)>

11月22日、23日の学習相談会(東京・飯田橋)は、
3教室とも満席となり、120名の皆様にご参加いただきました。何かと忙しいこの時期に、わざわざ足をお運びいただき、本当にありがとうございます。

22日には、「コトノハ通信」持参で、ちゃこ先生が参加され、23日には準拠教室の坂井先生と協力教室の小野田先生がご参加なされました。

また、当会の会員ならびにFAX添削会員の方もたくさんご参加いただきました。遠方から足を運んでいただいた方も多く、皆様には心から感謝申し上げます。

早速いろいろなご感想をいただきました。そのうちのいくつかを、ここでご紹介させていただきます。

「家に帰って、1行ずつ絵にかくやりかたで、どんぐりに取り組んでみました。ダンゴムシは、図鑑をみながら、足が14本もあるんだ、と言いながらかきました。今までは、○に適当に足を4本かいて、終わりだったと思います。よい方向にむかうことができました」(お子様・年長さん)

「子供の発達段階には一人一人違いがあり、無理に中学受験をさせるとよくない、ということが理解できました。うちの子は、中学受験にはむいてないと思いましたが、子供がどうしてもしたいと言い出したときのために、親として準備だけはしておこうと思いました」(お子様・小学校4年生)

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当日は、はじめに、「言葉を視覚イメージに再現する力が、いかに重要であるか」を、実際にお父さん、お母さんたちにも実感していただくために、現実の中学入試に出題された問題を利用して「算数」と「国語」の二つのワークを行いました。

算数のワークの1問目は、小学校高学年で、多くのお子様が「わからなーい」と言いはじめる「速さの問題」です。

実際に自分で鉛筆をもって考えてみると、算数では、「内容を視覚イメージに転換し、細部に注意して理解する力」。これをより具体的にいうと、「文章を自分のイメージにひきよせて、条件を読み取り、細部に注意して正確に図をかく」ことが、いかに重要であるかがよくわかります。

『今回は、「家から駅まで毎分70メートルの速さで歩くと、毎分60メートルの速さで歩くより3分早くつきます。このとき、家から駅までの道のりを求めなさい」という問題を取り上げましたが、「3分はやい」の部分を図にするのが、意外と難しかったのではないでしょうか。』(桐光学園中)

国語のワークでは、早稲田実業中の入試問題から、「国語の読解とは、内容を視覚イメージに変換し、細部に注意することなくその流れを感じる力である」ということが、すぐに実感できる題材を取り上げました。(出典:津村節子『似ない者夫婦』〈河出書房新社〉)

このように、前半は「視覚イメージはすべての学習のプラットフォームになる」という糸山先生の「教育の統一場理論」という考えをメインに、構成しました。

また、最近のお子様が、「言葉を視覚イメージに変換する力が落ちている」原因の一つとして、テレビやゲームによる影響と同時に、子供の生活そのものが受身になっていることをのべ、子供が「五感を使っていろいろな体験をする」、「意識して、よく見る」、「体験を意識化する」、「言葉と体験をリンクする」ことがいかに重要性なのかに力点を置いてお話しししたところ、多くの参加者の方がうなずきながら話を聞いておられました。

(次回に続く)




2008/11/14

<自分で考え、自分で選び、行動できる子供に育てる!(その1)>

11月22日、23日の学習相談会ですが、多数の皆様のお申込により、満席となりました。何かとお忙しいこの時期に、厚くお礼申し上げます。

当日の内容は、オンラインのメルマガやこのコラムでも随時取り上げていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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いきなりですが、世の中には本当にいろいろなダイエットがありますね。

最近大ヒットしたのは「朝バナナダイエット」でしょうか。(腰まわしというのもありますね)バナナの勢いがちょっと衰えてきたと思ったら、何と今度は「朝ミカンダイエット」が登場し、私は本当に驚いてしまいました。

実は、「バナナがいい」と言われ、試したけれどうまくいかなくて、次にミカンにうつっていくダイエッターは、あまり満足のいく数字をだすことはできません。

しかし、「何故バナナを朝に食べると、やせるのか」その理論を勉強し、「何故自分は効果がでなかったのか」自分の体験を意識してふりかえってみるダイエッターは、結果としてきちんとやせることができると思います。

このようにダイエットに取り組む上でも、一番重要なことは、きちんとした「理論」なのです。

実は、今回の学習相談会では、「子供の家庭学習は何をさせればいいですか」、「中学受験のために、算数以外の勉強法はどうしたらいいですか」といった内容のご質問も多数いただきました。それは、可能な限りお答えしようと思います。

しかし、より重要なことは「何のためにどんぐりの文章題をするのか」、「子供はその発達段階に応じて、どのように感じ、考え、行動できるようになるのか」と言う理論であり、子育てと教育の本質の部分だと、私は考えています。

また今回このコラムのテーマとして、「自分で考え、選び、行動できる子供に育てる」を取り上げました。これは、当どんぐり教育研究会が、設立当初から最優先に考えてきたテーマでもあります。言葉にすると簡単そうですが、これは大変に難しいことです。

親御さんたちに知っていただきたいことは、変化の激しいこれからの時代を生きる子供たちは、「テストでいい点がとれる」だけではだめです。
学歴が重要視されるのは、新卒のときだけで、卒業して3年もたつと、あとは「職歴」のほうが重要になってきます。

ですから、
学歴のみに固執せず、知力、学力、人間力をバランスよくそなえ、「何でも食べ、どこででも生きていける」タフな人間に育てることが、結果として子供の「自己実現」を応援することになるのです。

今回の学習相談会では、今幼児・小学生の子供たちが社会に出るころ(20年から30年後)、日本と世界をとりまく状況が、どうなっているのかについても、お話できたらと考えています。

(次回に続く)



2008/11/04

<答えのない時代における教育の役割とは(その5)>

 11月22日、23日の学習相談会に向け、ご参加予定の皆様から、事前にたくさんのご質問が寄せられています。このホームページにアップしているメルマガのバックナンバー(11月号)より、どのようなご質問が寄せられているかを、見ることが可能です。

 現在、引き続きご質問を受付中です。定員がございますので、ご参加の方はお早めにお申込ください。

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 先日、ある雑誌の、子育てに関する質問に対し専門家が答えるコーナーで、次のような記事を見つけました。私たちにも、同じような内容のご質問が多く寄せられていますので、ここにご紹介させていただきます。

 「進学で苦労させたくないと思い、小学校に入学する前から子供の勉強を見てきました。でも、小学校3年生になった今、すっかり勉強嫌いになって、わからないとすぐに投げ出し、全く自分で考えようとしません。勉強をはじめても集中できず、大好きなお絵かきばかりに熱中しています。どうしたらよろしいでしょうか?」

 このようなご質問は、最近とても多いのです。幼稚園にあがるころから、ドリルや習い事を頑張ってきて、お子様が消化不良をおこしてしまっているのですね。

 親御さんは「もう小学校3年生なのに、このままではいけない」と不安になり、あれやこれや「させようとする」。それに対し、また子供が抵抗する、という状況だと思いますが、どこのご家庭でも、似たような悩みなのかもしれません。

 実は、こういう状況でどんぐりをスタートしても、あまりうまくはいきません。というより、どの教材を使っても、何を勉強しても、親御さんが望まれるような効果(勉強が好きになる、じっくり考えるようになるなど)は期待できないものです。

 多くの親御さんは、「子供に何をさせるか」(Do)に目が向いています。
しかし、本当に重要なことは、子供に何をさせるかではなく、「親が子供に対して、どのように接しているか」、「子供の情緒が安定しているか」という(Be)の部分なのです。


 たとえば、大ベストセラーとなった水野敬也さんの「夢をかなえるゾウ」(飛鳥新社刊)の中に、成功するための最初の課題として、「靴をみがく」というものがあります。

 この「靴みがき」は、古今東西の多くの成功哲学の本の中に同じことが書かれていますので、「やってますよー」という方もおられるかもしれません。

 しかしこの「靴みがき」一つとっても、重要なことは、「一週間に何回みがくか」とか「どんなブラシを使うか」(Doの部分)ではなく、「どんな気持ちでみがいているか」にあるのです。「面倒だな」、「こんなの早く終わらせちゃおう」と思いながら、適当にぱっぱとすませていては、何百回繰り返しても、あまり意味がありません。

 本当は、靴を磨きながら、「お世話になっている人や存在に感謝すること」「目の前の小さなことに集中すること」「物やお金を大切にすること」など、いろいろなことを考え、そこから様々な気づきがうまれ、そして自分のあり方(Be)が変わっていくことが、重要なのですね。

 実は、子供の教育にも同じことがいえるのです。

 親御さんたちは、「何をどのくらい勉強させるか」よりも「24時間、どのように子供と接しているか」に、気をつけてみてください。

 糸山先生がよく言われているように、「強い刺激」、「速さ」は、子供の「拒否・不安・恐怖」を誘発し、成長に悪影響を及ぼします。

 「速くしなさい」と毎日繰り返し、子供に言っていませんか?
 「どうして、そんなことばかりするの」と子供をしかってばかりいませんか?

 大人もそうですが、「速さ」を強要されたり、不安を抱えている状況では、「自主的に物事に取り組んだり」「いろいろなことを、前向きに楽しく工夫したり」できないものです。

 どんぐり方式では、「リセット」という言葉が頻繁に登場します。この「リセット」の意味が、よくわからないです、というご質問も多くいただきます。

 実は「リセット期間」をおく、ということは、これまで子供に「不安」や「拒否」を与えていたものを取り除き、新しく快適な状況(Be)をつくりなおすために、とても重要なことなのです。

PS. 情報誌コトノハ通信創刊号では、この「リセット」について、様々な体験談が特集されています。

(次回に続く)



2008/10/15

<答えのない時代における 教育の役割とは(その4)>

 前回のコラムで、「どんぐりに取り組まれると、お子様が成長するのは、進化のスイッチが入るからです」と書きました。それを読まれたお母さまから、先日次のようなメールをいただきました。

 どんぐりのことは、前から知っていましたが、あまりにも型破りな学習法で、信じることができませんでした。今、子供が小学校高学年になり、やっと気がつきました。これから少しずつ、はじめていきたいと思います」

 私(カニ先生)は、以前東京で第一回の学習相談会を開催したときにも、同じようなことを、複数の参加者の方からうかがいました。ですから、「ラジカル」とか「型破り」とか言われても、もうあまり驚きません。

 確かに、どんぐりの良質の算数の文章題には、フンコロガシやかたつむり・宇宙人がどんどん出てくるので、「変わってるなー」と思われるかもしれません。(私も最初は、そう思いました)

 しかし、どんぐり問題の真髄である「文章題を自分の頭でイメージし、絵図をかいて考える」というのは、実は型破りでもなんでもなく、ごくごく正統派の学習法だ、ということを、みなさんはご存知でしょうか。


 筑波大学付属小学校教諭で、全国算数授業研究会の理事でもある、田中博史先生(教育番組 かんじる算数123など、テレビ出演も多数)は、その著書「わくわく算数忍者 絵にかけば算数はできちゃうのだの巻」(文渓堂)の中で、
「問題文をよむときは、お話の場面を想像しながら読んでね。文章題は、まず絵にかいてね」と繰り返し、例をあげて説明をされています。

 また指導経験の長い、地域の個別指導の塾にも「とにかく絵をかくように」と指導をされるところは、たくさんあります。

 ですから、市販のドリル(最初から絵がかいてあるもの)と比較して、「うちの子は小学生だから、時間をかけて絵をかいている暇はないですよ」と、そう思われているお母さまがもしおられるとしたら、是非一度学習法を見直されてみてください。

 最近では、教育関係者の間では、「勉強のできる子は、よく手を動かしてかいている」、「絵をたくさんかく子は、頭がよくなる」ということが、公然の秘密として言われています。

 有名中学合格者の自宅を徹底調査してまとめられた「頭のよい子が育つ家」(四十万 晴著 ・日経BP社)の中にも、
「できる子の自宅には、ホワイトボードがあり、子供はいつもそこに何かかいている」との報告がありました。

 また、お絵かきを知育としてとらえた良書「頭のよい子は絵がうまい」(山田 雅夫著 ・日経BP社)によれば、
絵をかくとは、「対象をよく見ること」、「感じること、考えること」、「コミュニケーション」、「楽しむこと、創造すること」など、知育に大切な要件がつまっている、ということが指摘されています。

 このように見てくると、糸山先生の提唱されるどんぐり方式は、「ラジカルでも型破りでもなく」よく考えられた、無理・無駄のない正統派の学習法である、ということが言えるのではないでしょうか。

 実際、私(カニ先生)が、これまでみてきた多くの子供たちの中でも、「できる子は、とにかくよく手を動かして、絵図をかいていた」ということが断言できます。

 そういうお子様は、本を読んでも、その内容をありありとイメージ化して味わうことができますし、小学校の教科書など、一度読めば大体のことは分かってしまうようです。

 ですから、「机について勉強している時間は短くても、なぜか勉強ができる」のですね。

 実は、糸山先生のいわれる「どんぐりの背比べ」の時期に、たくさんどんぐり問題でお絵かきをしておくと、誰でもこのような力をみにつけることができるのです。

 「意識して、対象をよく見る」「イメージして、絵図をかく」ことが自然になると、子供は勝手に進化していきますので、保護者の負担は、ぐっと減ります。「ドリルをしなさい」「いやだ!」という親子ゲンカもなくなります。


 では、「どんぐりを通して進化のスイッチが入るのは、絵をかくようになるから」なのでしょうか。いいえ、それだけではないのです。次回は、さらにどんぐり問題の中にある、秘密の仕組みについて、考えてみたいと思います。

(次回に続く)



2008/10/2

<答えのない時代における教育の役割とは(その3)>

前回のコラムを読まれたオンラインメンバーのお母さまから、次のようなメールをいただきました。

「何でも速いことが要求されるこの時代、それとは逆に、ゆっくりがいい、という、どんぐり方式に興味を持ちました。まずは、親がじっくり勉強してみたいと思います」

このメールを読んで、私(カニ先生)は、以前教えていたお教室で、幼児から小学校低学年の子供たちのお母さまたちと、次のような会話を日々繰り返していたことを思い出しました。

(4歳児のお母さま)「先生、うちの子は幼稚園で、お片づけがいつも遅いんです。どうすれば、速くできるようになるのでしょう」

(小学校1年生のお母さま)「先生、うちの子は計算が遅いんです。どうすれば、速くできるようになるのでしょう」

(小学校2年生のお母さま)「先生、うちの子は、掛け算を覚えるのが遅いんです。どうすれば・・・・・・」

実際にお母さまたちは、レッスン中の幼児のお子様にも、「速く取り組みをしなさい」、「速く片づけをしなさい」と、何度も声をかけていらっしゃいました。

今の小学校では、「速く計算ができること」、「速く九九を言えるようになること」、ついでに「速くお掃除や授業の準備ができること」が、すばらしい!とされています。

ですから、「うちの子が学校でつまずかないように」と思われているお母さまにとっては、「速く!と言っては、いけませんよ」というどんぐり理論は、最初のうちは「???」なものに見えるのかもしれません。

しかし、私(カニ先生)がいろいろと調べたところによると、「計算が速くできなければいけない」、「何でも速いほうがいい」というのは、どうも「日本独自」の考え方であるようです。歴史を振り返ってみると、偉大な業績を残した学者は、暗記や計算が苦手で、小さいころは、むしろ「のろま」が多いのです。

相対性理論で有名なアインシュタインは、計算がすごく遅く、落ちこぼれ扱いを受けていました。また、エジソンは小学校にあがると「何故?どうして?」を繰り返したため、学校をやめさせられました。その後、好きな実験に没頭し、発明家として大成功をおさめたのですが、「若い人は、決して時計をみてはいけない」という言葉を残しています。

日本における数学教育の第一人者であり、多くの著書をもつ東京理科大学教授の芳沢光雄先生は、その著書「ぼくも算数が苦手だった」(講談社現代新書)の中で、

「計算が速くなると頭はよくなる、という日本固有の迷信を、一刻も早く過去のものにしないと、OECDの国際学力調査(PISA)で、日本の成績はますます下がっていくでしょう」と、書かれています。

先生自身、中学にあがるまでは、「計算は遅いうえにミスばかりする算数のできない子供だった」そうで、とても説得力があります。

ぜひとも小学校の先生たちには、芳沢先生の本を読んでいただきたいですね。

前回のコラムで私は、「どんぐりを通して子供が成長するのは、進化のスイッチが入るからです」と、書きました。では、進化のスイッチとは何なのでしょうか。

「時計を見てはいけない」というエジソンの言葉、天才たちの子供時代のエピソードなどを参考に、是非みなさんも考えてみてください。

(次回に続く)



2008/9/22

<『答えのない時代』における教育の役割とは(その2)>

先日、オンラインメンバーのお母さまから、次のようなメールをいただきました。

「小学校1年生から、どんぐりをしています。最初は、泣いたり怒ったり大変でしたが、親も子も我慢。少しずつ自分で考えることができるようになり、小学校3年生の今は、5年生の問題まで解けるようになりました」

「自主学習として学校にもっていくと、いい勉強をしているね、と先生にも驚かれました。ほめられたことで、ますます先生が好きになり、どんぐりも好きになったようです」

また塾には行っていないのに、進学塾の主催するオープンテストでは、県でも有数の、とてもよい成績をおさめておられるとのことです。

実は、このお母さまからのメールをみても、私(カニ先生)は、あまり驚きませんでした。

私たち、どんぐり教育研究会のファックス添削会員のお子様の中には、どんぐりの良質の算数の文章題を続けることにより、勉強が楽しくなり、その結果として塾や学校での成績が劇的にあがったお子様が、相当数おられるからです。

「どんぐりを1年ほど続けて進学塾の模試をうけてみたら、一番上のクラスに入れます、と言われました。びっくりです」

「大変難しい私立小学校の編入試験に、合格しました。わずかな期間しか準備していないのに、どんぐりはすごいですね」

このように書くと、多くの親御さんは、「そのお子様は、毎日ものすごーくたくさん問題を解いているのではないの?本当に週に1問か、2問で、そんなに勉強ができるようになるの?」と疑問に思われるかもしれません。

しかし、みなさん本当に、毎日何問も取り組んでおられるわけでは、ないのです。

週に2問以上されているお子様もおられますが、あくまでも本人のペースで、無理をせずに取り組まれています。しかも、国語や算数のいろいろなドリルをしているわけでなく、あくまでも「どんぐりの文章題だけ」なのに、「国語の成績もあがっている」のです。

毎日漢字のかきとりや、読解のドリルをしているのに、国語が苦手なお子様にとっては、「ずるーい」と叫びたくなるような話かもしれません。

私(カニ先生)の持論の一つに、「勉強のできる子は、机の上で勉強している時間が短い」というものがあります。

実は、塾講師の間ではよく、「できる子は、何をしなくても、何を教えなくても、勝手にできるようになる」ということが言われます。みなさんの周囲にもいませんか?「友達と遊んだり、サッカーや野球のスポーツをがんばっているのに、勉強もすごくできる」という、不思議なお子様が・・・

私はそういう子供たちを観察した結果、次のようなことがわかりました。それは、このお子様たちは「机に向かっていない時間でも、いつも自分の頭を使って、常に試行錯誤を繰り返し、いろいろなことを考えている。だから勉強も自分なりに工夫して行い、結果として何でもできるのではないか」ということです。

ではこのような「常に自分の頭で考え、工夫するお子様」は、特別なのでしょうか。世間でいうところの「天才くん」なのでしょうか。

実は、どのお子様も、どんぐりに正しく取り組めば、「天才」になることが可能です。お子様が、「自分で勝手に何でも工夫して進めていく」ようになれば、親御さんたちはとても楽になりますよね。

私はそれを「進化スイッチが入る」というふうに、表現しています。

次回は、どんぐりを通して、お子様の「進化スイッチをおす」方法について、述べてみたいと思います。

(次回に続く)



2008/9/4

<『答えのない時代』における教育の役割とは(その1)>

9月1日の辞任会見で、福田首相が発した「あなたとは違うんです」が、ネット上で流行しているようです。
もうすでに「あなたとは違うんです」Tシャツまで発売され、売れているというから、本当に驚きですね。

このように、知識資本主義社会においては、知識や情報そのものが生産物としての価値を持ちます。
これまでの常識から言えば、生産性とは、「労働生産性」のことでした。つまり、何時間働いて、どれだけの生産物を作ったか、が計られてきたのです。

しかし、現在注目を集め、重要視されるようになっているのは、労働生産性よりもむしろ「情報生産性」なのです。これは、実は「何時間働いたか」などという時間で計ることはできません。

ある人が3分で思いついたことのほうが、30時間かかって他の人が考えたことよりも、価値があり、「あなたとは違うんです」Tシャツを作って売っている会社のほうが、誰もが知っている有名企業よりも格段に利益率が高いということさえ不思議なことではないのです。

このところ企業の倒産が急増しています。帝国データバンク発表による2008年上半期の倒産集計では、国内の負債額1000万以上の倒産件数は、半年間で6022件。前年同期比で、11.6%も増加しています。

この秋以降は、より大型の倒産が発生するとの予測もあり、大企業ですら危うい状況にあります。
大変厳しいことですが、時代の変化にあった営業方法を取り入れたり、時代のニーズに合致した商品やサービスをすばやく開発することができない企業は、大企業でも生き残ることが難しくなってきています。

このように21世紀は、世界的にみても厳しい淘汰にさらされた変化の激しい時代です。経済のボーダレス化とグローバル化がすすみ、人口が10億人以上の中国やインドが爆発的に成長してきた今日、企業も個人も「今後、この社会はどうなっていくのか」という不安は確信になりつつあります。

特に、現在子育て中のお父さん、お母さんは、「高校や大学を卒業しても、正社員になることも結構難しい今日、いったい子供をどんなふうに育てればいいのか」頭を抱えておられるかもしれません。

「学校もあてにならない。子供の生きる力ををつけるのは、親しかない」と考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、何も悲観的に考える必要はありません。これからの社会がどうなっていくのか、日本と世界の動きをしっかりと見つめ、合理的に判断し、勇気をもって行動していけば、いくらでも道は開けます。

知識資本主義社会とは、個人や小さな組織でも、アイディアと実力さえあれば、十分大企業と互角にたたかえる、とても面白い時代なのです。

何よりも、子育て中のお父さん、お母さんに知っていただきたいことは、これからの時代は、「これまでの常識や価値観が通用しない、『答えがない時代』である」ということです。

たとえば、多くのお父さん、お母さんはお子様に「医者や弁護士になってほしい」、「公務員が一番いい」とすすめておられるかもしれません。しかし、自治体でも倒産するというこの時代に、「この仕事であれば大丈夫」という保証は、何もないのです。

むしろ、「これからの時代、確実なものは何もない」という前提のもと、では子供たちが社会に出る10年後、20年後の日本の社会は、いったいどうなっているのかを、きちんと見据えることが親の義務であると思います。

(次回に続く)

<追伸>

どんぐり倶楽部情報誌「コトノハ通信」が、編集長の「ちゃこ」さんと、どんぐりんぐの管理人「スプリングさん」のご尽力により、スタートしました。糸山先生のホームページからお申込いただけます。興味のある方は、是非ホームページをのぞいてみてくださいね。



2008/8/18

<どんぐり流 脳を活かす12歳までの学習法(その7)>

最近ファックス添削をスタートされたお子様のお母さまから、次のようなご質問をいただきました。

「小学校2年生ですが、年長さんの問題が、全くできません」
「ヒントをあたえてはいけません、とありますが、本当に何もわからないようで、とまどいます。どうしたらよいのでしょうか」

私(カニ先生)も経験があるのですが、目の前で小学生(特に低学年の)子供に「わからなーい」、「難しいから、したくなーい」と言われたときの対応は、本当に難しいものです。

こういう場合、決してしかってはいけません。重要なことは、「わからなーい」を連発している、目の前の子供が発している緊急メッセージの内容を、きちんと解読してあげることです。

「うちの子は、大丈夫かしら」と、不安になってもいけません。親御さんが不安になると、子供はもっとストレスを感じます。ですから、難しいとは思いますが、あくまでも冷静に、落ち着いて、子供を観察してみることが重要なのです。

一般的には、どんぐりの文章題に取り組む上で、子供がいう「わからなーい」には、

(1)使われている言葉の意味が、わからない

(2)文章の意味が、わからない

(3)何をきかれているのか、わからない

(4)絵図をかいてごらん、と言われても、描き方がわからない

などの意味があります。

どんぐりでは、4行ほどの文章を読み、絵図をかくのですが、最初から一度読んで「こういうことね」と理解して、楽しそうに絵図をかきはじめるお子様は、そう多くはありません。

ですから、小学校2年生で、どんぐりの年長さんの問題ができなくても、「うちの子は大丈夫かしら…」と親御さんが、不安になる必要は全くありません。

どのお子様にもいえることですが、文章題を考えることができないのではなく、「考える方法を教えてもらっていない」だけなのです。

「1文ずつ読んでみようね」と声をかけ、1文ずつじっくり、ゆっくり、楽しんで絵図をかいていくと、時間の差はありますが、どのお子様も100%考える力がついてきます。

話は変わりますが、私が学生の頃、中学生の家庭教師をしていたとき、私は、非常に重要なことを学びました。
どんなに学校の勉強が遅れている子でも、(当時その子の学校のテストの成績は、
毎回10点くらいだったと思います)勉強するべき内容を小さく分解し、その子のイメージできる言葉におきかえ、一つ一つをじっくり、ゆっくり、紙にかいて確認しながら進めていくと、少しずつですが理解し、考えるようになる、ということです。

どんぐりをする上で、親御さんたちが一番とまどわれるのが、「教えてはいけません」、「ヒントを出してはいけません」の部分ではないかと思います。

しかし、「言葉の意味は、その子のイメージしやすい言葉におきかえて教える」ことができますし、「1行ずつかいてごらん」は、もともとヒントではないのです。

さらに、そのときに子供が問題に正解できることは、あまり重要ではありません。

答えが出ても、出なくても、どんぐりの文章題を通して「難しいと思えても、小さく分解(1行ずつ)して、絵図にかいていくといいんだ」と実感することが、子供にとっては大きな自信となるのです。

(このシリーズは、これで終わりです)



2008/8/1

<どんぐり流 脳を活かす12歳までの学習法(その6)>

「うちの子は、集中力がありません。ちょっと難しい文章題は、見ただけで考えることを拒否します。このままでいいのか、とても心配です」

「国語の読解力がありません。塾に通っていますがテストは毎回、ひどい点数です。長時間勉強しているのに、身に付いていないような気がします。このまま塾に行かせていて、よいのでしょうか」

最近、私たちどんぐり教育研究会に寄せられるご質問に、上記の内容のものが目立つようになりました。

「集中力がない」、「文章題を考える力がない」、そして「国語の読解ができない」というのは、親御さんたちの抱える「子育てと教育に関する悩み事」ベスト3を占めているようです。

これらのお悩み一つ一つに対し、的確にお答えするのは大変難しいことです。本来であれば、それぞれのご家庭を訪問して、実際にお子様とお話をし、いろいろな質問をさせていただき、その受け答えを観察しながらでなければ、本当のことはわかりません。

しかし、到底それは無理なことです。
そこで私(カニ先生)は、「あくまでも一般論ですが」という前提のもと、これらのご質問に対し、メールやお電話でお答えさせていただいております。

ここで親御さんたちに知っていただきたいことは、「集中力がない」、「考える力がない」、「国語の読解ができない」というのは、いまや小学生の子供だけの問題ではない、ということです。

最近「小学生の間でも、読書感想文のコピペがはじまった」という記事が話題になりましたが、既に大学生の間ではすでに「インターネットからコピー&ペーストして、レポートをつくる」というのが、常態化しているのだそうです。

学生たちの「面倒なことはしたくない!」という意識は、私たちの学生時代よりも強くなっているような気がします。

前回のブログでも書きましたが、現代は何でもインスタントの時代です。お湯をいれて3分待てば食事ができ、24時間コンビニで買い物ができる。インターネットやゲームで遊び、気に入らなければいつでもリセットボタンが押せる。そんな生活に生まれたときから慣れ親しんでいるのが、今の小学生や若者たちです。

私(カニ先生)は、そういった子供や若者たちを取り巻く環境の変化を無視して、様々な教育問題を語ることはできない、とそう考えています。

環境が変わったのだ、ということを前提として、「では、教育者として親として、何ができるのか」ということを考えていかなければならない、そんな時代だと思います。

もしもお子様に、「時間や手間がかかること」、「面倒くさいこと」、「努力や我慢を強いられ、すぐに結果が出ないこと」が苦痛で、それを避けよう、避けようとしてしまう傾向が見られるのであれば、それはただ「生活習慣ができていないのね」という問題ではありません。

日ごろから、「面倒くさいこと、自分で考えることを嫌がる」お子様が、どんぐりの文章題の学年相当を「楽しく自分で絵をかいて、すらすら解いてしまう」ことは、まずない、といっても過言ではないでしょう。

どんぐりの文章題には、「読みにくく、まわりくどい表現」や「計算するのがとても大変な大きな数字」がどんどん出てきます。それを「習っていないもん」、「難しいもん」と拒絶するお子様は、単に「算数が苦手」というだけではないのです。

(次回に続く)



2008/7/12

<どんぐり流 脳を活かす12歳までの学習法(その5)>

オンラインメンバーに登録された親御さんから、先日もこんなコメントをいただきました。「子供たちには、自分の力をのばして、幸せな人生をおくってほしいと願っています」、「自分がどう子供を育てたいのか、見えてきました」こんなコメントをいただくたびに、私(カニ先生)は、あることを思い出します。

以前教えていた生徒(4歳児)のお母さまなのですが、授業の間ひっきりなしに子供をしかっている方がいました。

「どうして、もっと早くできないの!」、「ほら、○○ちゃんを見てごらん。ちゃんとやっているでしょう。どうしてあなたは、やらないの!」

現代は、何でもインスタントの社会です。
ファーストフードやコンビニのお弁当があたりまえになり、そんな中で生活していると、「教育」も簡単に「プログラムや、パッケージ化されたものを購入すればいい」と思ってしまいます。

そのお母さまは、「子供のために、お金を払ってプログラムを購入し」せっかくだから頑張ってほしいと、「子供のために」しかっているのです。しかし、最大の間違いは「何でも、早くできたほうがいい」、「英語も勉強も、スタートは(遅いよりは)早いほうがいい」という「思い込み」です。

糸山先生の「12歳までに絶対学力を育てる学習法」の中に、次のようなことがかかれています。
大変重要なことですので、ここでご紹介させていただきます。

「教育の第一義的な目的とは、何でしょうか。
それは、抽象思考ができるように準備をすすめている進化途上の乳脳をもつヒト(子ども)を、自在に抽象思考ができる永久脳をもつ人間(大人)に育て上げることです。
正常な永久脳がもつ、高度な理解力、深い思考力、人間らしい判断力を育てることが、基礎教育なのです」

「幼児・児童期にスピード教育をされた子どもたちは、ゆっくりだと落ち着かなくなります。
その基準(=スピードが1番)に合わせるために、考えないようにするのです。
これでは、考えられない大人になるのは当然です」


幼児・児童期は、ヒトを人間に育てるという、親御さんにとっては「真剣勝負」の時期なのです。

強風でも耐えることができる稲は、実は根っこがしっかりと、張っています。
地面の上だけ見ていても、その違いはわかりません。人間も同じです。たくさんの知識を暗記していても、高度な理解力・深い思考力・人間らしい判断力という根っこがはっていなければ、使えないのです。

実は、中学入試の過去問を分析していくと、特に上位校・難関校の入試問題や、最近注目を集めている公立中高一貫校の適性検査では、「どれだけ深く根っこを張っていますか?」を問うている問題が多いことに気がつきます。

ここで、ある首都圏の難関中学校で、世界の水問題をテーマに作られた、社会の問題から一つご紹介しましょう。

「淡水のうち世界でもっとも利用されているのはどの種類ですか。
資料のグラフの中から、一つ選びなさい」という問題です。
参考資料は、世界の淡水の分布をあらわした円グラフで、「雪・氷70%、河川・湖沼など0・4%、地下水29・1%」となっています。

一番目に付くのは「雪・氷」なのですが、これは間違いです。
少し考えれば、「雪は使わないよね」と気づくでしょう。次に目に付くのが「地下水」なのですが、「地下水が答だ」と考えるお子様が、一番多かったのがショックでした。
しかし、正解はグラフの中では0・4%しかない「河川・湖沼」です。(正解率30%)

出題者は、この問題の中で目先の数字にまどわされることなく、「河川と地下水と、どちらが利用しやすいか」自分の頭で考えることができるかどうか、を試そうとしています。
みなさんも、(中学受験をする・しないは別として)自分のお子様が小学校6年生になったとき「うちの子なら、何と答えるだろう?」と、ちょっと想像してみてください。

次回も引き続き、実際の中学入試問題より、「考える力を問う」問題を、取り上げていきたいと思います。

(次回に続く)



2008/6/25

<どんぐり流 脳を活かす12歳までの学習法(その4)>

私たちどんぐり教育研究会は、子育て中の親御さんたちから、毎日いろいろな質問や教育に対するご意見をいただきます。その中でも、

「国語の読解が苦手です。どうしたらよいのでしょうか」、「国語でも算数の文章題でも、思い込みや読み間違いがとても多く、このままでいいのか心配です」というご質問が多く寄せられています。

大人もそうですが、実は「文章に書かれている内容や、人の話していることを正確に理解し、その本質を読み取ること」は、案外と難しいのです。

子供のころ、学校でお友達とよくやっていた「なぞなぞ」の一つに、

「太郎君が風邪をひいて病院に行きました。その病院にいく途中の道で、モーと牛が鳴いて、蝶が飛んでいるのが見えました。さて、太郎君の病気はなんでしょう?」
と問題を出されたときに、「盲腸 !」と叫ぶ子供は、本当に多いのです。

つまり、このなぞなぞでは、最初に「風邪で病院にいく」と言われているにもかかわらず、「モーとチョウ、ここがヒントだ」という勝手な思い込みが面白く、笑いを誘うのです。

しかし、単なるなぞなぞならば「面白いねー」ですませることが出来ますが、これが中学入試となると、笑ってはいられません。

中学入試というものは、「落とすための試験」です。受験者全員に満点をとられてしまっては、出題者は頭をかかえてしまいます。そこで、あちこちに「落とすため」、「受験者の間で差をつけるため」のしかけが、数多く用意されています。

中学入試の過去問を一つ一つ見ていくと、国語でも算数でも、「この問題は、この部分で読み間違いをさせるように、敢えて作っているなー」と、気づく場合があります。

ですから、日ごろの学習の中で、「思い込みではなく、問題を正確に理解すること」を意識しながら、じっくり、ゆっくり、丁寧に取り組む習慣をつけることは、非常に重要であるといえるでしょう。

実は、どんぐりの良質の算数の文章題の中にも、問題をしっかり読み取らなければ間違えてしまう、注意力と集中力がないと正解できない意地悪な問題が、幾つも存在します。

たとえば、これは3年生の問題ですが、
「今日は全国CD飛ばし大会の日です。1人5枚ずつの巨大CDを、5メートル先の箱に投げ入れます。箱に入ったCDの厚さに応じて車をもらえます。始君は4枚、次野君は3枚、最後君は5枚が入りました。CD1枚の厚さを6ミリ、CDの厚さ2ミリにつき3台の車をもらえるとすると、みんなで車は何台必要でしょう」(3MX23)というのがあります。

ここで、ありがちなのが「1人5枚ずつのCDを、5メートル先の箱に」という部分にとらわれ、その部分を一生懸命に絵図にしようとすることです。また、5メートルという数字を使って、懸命に式をたてようとする子もいます。

しかし、注意深く読んでいくとわかるのですが、この問題の中で「5メートル先の箱」というのは、問題の本筋とはまったく関係がないのです。つまり、10メートルでも、100メートルでも構わないのです。

この問題のポイントは、「CD1枚の厚さは6ミリ、厚さ2ミリにつき3台の自動車がもらえる」というところを、きちんと自分の頭でイメージ化して絵図がかけるかどうか、にあるのです。

どんぐりの文章題に取り組むと、最初のうちは、このように、学年に応じたレベルで仕掛けられている「ワナ」にどっぷりはまりながら、「あー、わからない」と、もがき苦しむかもしれません。しかし、続けていくと少しずつ「集中力・注意力をもって文章を正確に読み取る」、「文章をイメージ化する」とはどういう意味か、自分で理解できるようになってきます。ですから、どんぐりを続けていくと、学年に関係なく、すべての子供に学力がつくのです。

次回は、最近の有名校の中学入試問題から、「文章を正確に読み取る力を問う」ためによく考えられた難問について、いくつかご紹介していきたいと思います。

(次回に続く)



2008/6/4

<どんぐり流 脳を活かす12歳までの学習法(その3)>

前回のコラムで、「論理的思考力、自分の頭でしっかり考えることができる地頭の良さを試されるのは、実は算数だけではありません」と書きました。

実は、最近の中学入試の社会は、ただ知識を暗記するという学習法では、到底対応できない問題が増えています。

特に偏差値の高い上位校、難関校では、その傾向が強くなります。このレベルになると、基礎知識があることはもちろん、問題文や資料の中の情報をくみあわせ、自分なりに推論をし、そしてそれを的確に表現する力が求められているのです。

私(カニ先生)は、いろいろな中学の社会の過去問をみていますが、それぞれの学校の先生方が心血をそそいで作られている問題の数々をみていると、「すごい!」と感心することがしばしばあります。

たとえば、平成19年の栄光学園(神奈川県)では、以下のような記述問題が出されています。大変すぐれた問題だと思いますので、ここにご紹介させていただきます。

「日本と中国は、長い歴史の中でいろいろなつきあいかたをしてきましたが、そのつきあいかたのうつりかわりをまとめなさい」(原文のまま)

いかがでしょうか。この問題に解答するには、まず、古代、中世から近世、近代、そして現代という歴史的な見方が、きちんと理解できていないといけません。

これは、「○○年に○○がありました。はい、覚えましょう、テストに出ますよ」という勉強の仕方では、到底身に付かないものです。そこで考えられる回答のあらすじとしては、

『古代においては聖徳太子以前の朝貢外交があり、そして遣隋使、遣唐使の派遣による文化外交、中世から近世にかけての元寇による敵対の時期を経て、日明貿易によって経済外交に変化した。

 鎖国の時代に続いて、近代においては日清戦争と日中戦争、その後の国交正常化を経て、現在中国は貿易相手国としてアメリカを抜いて1位となっている』という論旨を、ポイント、ポイントで確実に押さえていなければ点にはなりません。

すなわち、それぞれの時代において、日本と中国がどのような関係であったのかを、自分の頭でしっかり考え、それをわかりやすく表現していくことが必要になります。

この問題を限られた時間内で、要点を整理し、しっかりと自分の言葉でかくことができるお子様は、相当高いレベルで歴史の本質を理解し、日ごろから「地頭をきたえる」学習をしているお子様であるといえるでしょう。ちなみに、このストーリーに絡む歴史的な人物だけでもざっと30人はいます。全員を漢字で書ける実力を付けてくださいね。

実は、栄光のような難関校では、覚えなければいけない歴史や地理の知識は、むしろそう多くはありません。

しかし、古代〜現代における税制や土地制度、中国との関係、宗教、経済と人々の暮らし、権力の変遷など、歴史における主要なテーマを、様々な知識をリンクさせて自分の言葉でしっかり説明できる、深い学習をしているお子様でなければ、得点できないような問題が出題されているのです。

実は、このような問題の傾向は、大学受験においては、東京大学の入試に共通しています。東京大学の世界史は、たとえば説明文を読んだ上で、「スエズ運河、汽船、バグダード鉄道、モールス信号、マルコーニ、義和団、日露戦争、イラン立憲革命、ガンディー、のすべての語句を必ず1回は用いながら、運輸・通信技術の発展の流れを、17行以内(1行30字)で論述しなさい」というような問題が出題されました。

これは、歴史上の事件や戦争がなぜおこったか、背景にある本質を理解した学生が「うーん」と考えると、しっかりつながっていくのだそうです。(プレジデントファミリー 2007年5月号より)

東大入試においては、全教科において情報を的確に読み取り、自分の頭で推論し、最適な答えを導き出す、という能力が問われているようです。

中学入試においても、難関校の出題の傾向は、ある意味で「東大型」に近づいています。栄光だけでなく、いくつかの上位校においても、突然記述式が導入されるなど、その傾向が見受けられます。

上位校・難関校を目指されるお子様は、日々の学習の中でいかに「考える学習」をしていくかが、合否の分かれ目になってくるといえるでしょう。

(次回に続く)



2008/5/16

<どんぐり流 脳を活かす12歳までの学習法(その2)>

今回は、私(カニ先生)の個人的な経験を、述べてみたいと思います。

どんぐりの良質の算数の文章題の「ファックス添削」をスタートして、1年以上がたちますが、糸山先生から教えていただいた「視覚イメージを活用する添削」を行っていると、自分自身に次のような変化がありました。

1.人と話をしていても、内容を視覚イメージ化することが以前より簡単になり、話のポイントがすぐに分かるようになった

2.本を読んで、その内容を1枚の図表にまとめることが、すぐに出来るようになった

3.何でも図にかいて、全体を把握してから考えるようになり、仕事の段取りが以前よりよくなった

3.については、たとえば以下のようなことです。

忙しいビジネスマンを例にとってみましょう。今日の午前中のうちに、「A社の企画書を作る、B社の見積もりを指示する、出張の予約で飛行機と宿を決める、などなど」の仕事を全部こなさなくてはいけない場合、それを紙に書かずに、頭の中だけで段取りをすることは、到底不可能です。(少なくとも、私には出来ません)

一つの仕事(企画書作成)をしていても、「次は何をやるんだっけ」と気になって、そわそわし、ミスも多くなるような気がします。

しかし、一度やるべきことをすべて1枚の紙にかき、それにかかる予想時間もすべて数字で記入した上で、全体をみながら、計画をたててしまえばいいのです。計画をたてるまでは、多少時間がかかるかもしれませんが、全体を把握した上で方針をきめれば、安心して「今やること」に集中できます。

私(カニ先生)は、糸山先生が繰り返し「絵図をかいて考えなさい」と言われるのは、基本的にはこれと同じではないか、と思っています。

どんぐりの良質の算数の文章題では、文章にかいてある内容を必ず絵図にします。そして、分かっている数字は、すべて書き込み、自分のかいた絵図をじっくりと見るのですが、小学校低学年までは、絵図の中に答えがみえる場合がほとんどです。

どんぐりの問題は小学校中学年から、急に難しくなっています。つまり、問題の前提となる情報を絵図にして、かいた絵図の一部を移動させたり、変形させたり、2段階、3段階の操作が必要になるのです。

多くの私立中学校の入試問題は、一度に数段階の論理の組み立てを行わないと解けない程度の難問が出題されますが、これを「絵図」(概念図や模式図)をかかずに解こうとするのは、ほとんど不可能ではないかと私には思えてなりません。

(中には、全く紙にかかずに、頭の中だけですべての段取りをこなしてしまうスーパービジネスマンもいるように、そういう能力がひときわ高いお子様も、いらっしゃるかもしれませんが…)

しかし、「こういうときは、こうする!」と解法を丸暗記する、非効率で苦痛の多い勉強法ではなく、誰もが自分の頭で、論理的に思考し、正解へのプロセスを自分で導き出すことが出来るようにするには、「絵図をかいて考える」どんぐりの学習法が、効果的であり苦痛を伴わない学習法なのです。

また、論理的思考力、自分の頭でしっかり考えることができる「地頭のよさ」を試されるのは、実は算数だけではありません。過去問分析で、くわしくすべての教科を分析していくと、実は、他の教科でも同じことが言えるのです。

(次回は、中学入試の社会について、まとめてみたいと思います)



2008/5/2

<どんぐり流 脳を活かす12歳までの学習法(その1)>

脳科学者である茂木健一郎さんがかいた「脳を活かす勉強法」という本が、大変なベストセラーになっています。

この本の中には、親御さんたちにも参考になる「子育てと教育のポイント」が数多くかかれています。お時間があれば、是非本屋さんで手にとってみられることをおすすめします。

この本を読んで私(カニ先生)が考えたことは、「人間の脳の仕組みは、意外とシンプルなんだな」ということです。

この「人間の脳の仕組み」を理解し、その特性を活かした無理・無駄のない学習法を知っておくことは、特に子育て中の親御さんたちにとっては、非常に大切なことだと思います。

たとえば、茂木さんの言葉をかりると、「脳は、他人と自分を比較することでは、喜びません。そういう喜びのない学習は、身に付かないんです。人間の脳は、自分が少しでも前へすすんでいれば喜びます。そのスピードが速いか遅いかは関係ない」ということなのです。

私(カニ先生)は、一から十まで常に「他の子供と比較」され、大変なストレスを受けている子供たちをたくさん見てきました。極端な場合は、小学校受験のための習い事やお教室の時点から「比較・競争」の中に投げ込まれて、おぼれそうになっている子供たちもいます。

親御さんたちも、決して悪意があるわけではないのですが、「もっと頑張れ」という意味もこめて、何かが不得意なお子様に、「○○ちゃんは、できるのに、どうしてあなたはできないの?」というような言い方をしてしまうこともあるようです。

しかし、この「他人との比較」というのは、「脳科学の観点」からみても、決して得策ではないのですね。

このように、「脳科学」という視点から、子供への指導法や自分の勉強法を見直すと、いろいろな気づきがうまれます。

さて、話は変わって、脳の中の言語が「視覚イメージである」ということは、糸山先生がその著書の中で、繰り返し述べておられますので、ご存知の方も多いと思います。

私たちは、アメリカ人と話すには英語を、フランス人と話すには、フランス語を使います。これは、その人の言語で話さないと、自分の意志を伝えるのに大変苦労するからです。であるならば、「脳」とお話をするときには、「脳内言語を使う」のが、一番楽で効果的な方法なのではないでしょうか。

つまり、「脳内言語」である視覚イメージを活用しない学習法は、無理・無駄が多いのです。どんぐりの学習法は、人間が等しくもっている「視考力」と「視覚イメージ」をフルに活用しています。ですから、人と比較をせず、自分のペースで楽しく続けていけば、すべてのお子様に効果が期待できるのです。

(次回に続く)



2008/4/17

<未来をになう子供たちが、身につけるべき力とは(その6)>

私たちどんぐり教育研究会は、「無理・無駄のない中学受験」を親御さんたちにおすすめし、各教科の効果的な学習法や過去問分析の具体的なやりかたについて、日々情報収集や研究活動を行っています。

今年も「中学受験は小学校4年生から塾に行かないと受からない」という固定概念(?)にもめげず、「どんぐりと自宅学習」(と模試)のみで中学受験に挑戦する親子がいらっしゃることと思います。

また、受験はまだ数年先になるが、準備として過去問分析をはじめている親御さんも、いらっしゃるかもしれません。

私(カニ先生)も目下、ご依頼を受けて、ある関東の中学校の過去問分析を行っておりますが、その中でいろいろなことに気づきました。

まず、大変面白いと思ったのは、国語の問題です。各学校によって、本当に全然違います。そして、各学校の作成する問題の中に「うちの学校が欲しい生徒は、こんな生徒ですよ」という明確なメッセージが感じられるのです。

一つ例をあげてみましょう。ある学校は、ものすごい長文を出します。それは「うちの学校は読書の嫌いな子、速読のできない子は向きませんよ」という学校側からのアピールなのです。

またある学校は、「言葉の微妙なニュアンス」を問う問題を、毎年必ず出題しています。たとえば、「○○な思いがきざしてきて」の意味について、「きざす」とはどういう意味なのか、しっかり考えなければ正解できない問題を出題します。

ここで考えなければならないのが、「○○な思いがきざす」なんて言葉を、小学校6年生が知っているだろうか、ということなのです。

まず、日常生活の中では全く使いません。作文をかくときにも、「こんな思いがきざしてきました」なんてかく子は、まずいないでしょう。多くの受験生にとっては、初めて見る表現なのではないかと思います。

しかし、日ごろから「見たことのない言葉について、自分の頭でしっかり考える習慣」をもっているお子様は、多分こういう風に考えて正解に至るのです。

「きざす・・・何かな???
そういえば、きざしという言葉があるよね。きざしって、どう意味だっけ???
あ、そうか!とすると、この問題は、こういう意味しかないよね!」

話は変わりますが、私(カニ先生)の持論の一つに、「国語力が高い子供は、中学、高校と成長するほど伸びていく」というものがあります。

一般的に、中学生になって「勉強が苦手になる・分からなくなる」原因の一つに、私は「国語力」不足の問題があると考えています。たとえば、中学になると、親御さんたちも振り返っていただければ分かるように、勉強の中に難しい言葉がどんどん出て来るからです。

社会や理科だけでなく、数学でも同じです。ちょっと参考書をめくってみると「絶対値・累乗の計算・項と係数・分配法則・縮図を利用した計量」など、日常生活では使わない、難しい言葉のオンパレードですね。

その中で、たとえば「分配ってこういう意味だから、この法則はこういう意味かな?」と何となくイメージできる
子と、「分配?何それ?」と思っている子とでは、同じ授業を受けてもその理解力にかなりの差が出てきて
しまうのです。

ですから、「言葉をイメージする」・「語彙力をできるだけ豊かにする」ということは、中学以降の勉強を考える
と、小学生のうちに身につけておきたい重要な力であることは、間違いありません。


このように見てくると、中学受験の問題を作っている先生たちも、「さすがにいろいろ考えているんだなあ」と
いうことが分かりますね。

(このシリーズはこれで終わりです)



2008/4/8

<未来をになう子供たちが、身につけるべき力とは(その5)>

「フリーター」、「ニート」そして、最近では「ワーキングプア」という言葉が登場し、深刻な問題となっています。
子育て世代の親御さんたちにとっては、「うちの子が、このうちのどれかになってしまったら、どうしよう!」と考えはじめると、夜も眠れない!というのが、本音ではないでしょうか。

最近では、「とにかくフリーターではなく、正社員になれるように育てなければ」と、子供に休みなく勉強させていないと不安で仕方がない、そんな親御さんが増えているようです。

親御さんの教育方針のもと、毎日何枚もドリルをし、低学年から塾に通い、先取り学習をする。
私(カニ先生)は、そんな子供たちをたくさん見てきましたが、「本当にこれで学力がついているのかな?」といつも不思議に思っていました。

ここで親御さんたちに考えていただきたいのは、「頭をよくするのと、学校のテストで点をとれるようにするのは違う」ということです。

極端な話、小学校低学年(あるいは中学年)までは、頭がよくならなくても、学校のテストで点をとらせることは可能です。つまり、子供がいやがっても、自宅や塾でたくさんの問題を繰り返し解かせ、答えを暗記させればいいからです。

しかし、この「暗記だけで点数をとる」やりかたは、小学校高学年になると、とたんに通用しなくなります。
また、小学校入学前からいくら時間をかけても、お金をかけても「頭は良くなりません。」

どうしてでしょうか。

では、「頭がいい」とは、どういうことかを考えてみましょう。

人によって、いろいろな意見があるとは思いますが、何よりも重要なことは、「理解力・思考力・判断力がある」というこであると私は思います。

そして、この「理解力・思考力」には視覚イメージや多様な体験・経験、そして「判断力」には、感情が深いかかわりをもっています。(詳しくは当会のDVD講義か、糸山先生の著書をお読みください)

ドリルやテキストを中心に「知識や問題の解き方を習い、暗記する」という学習では、点数はとれるようになるかもしれませんが、本当の意味で「頭は良くならないのではないか」と、私は思います。

最近では、社会人やビジネスマンの間において「地頭力」というキーワードが、急速に話題を集めています。

この「地頭力」とは、知識や人の意見に頼らず、自分の頭で考えて回答を導く力であると定義されています。
変化が激しいこれからの時代には、従来の経験ベースでは答えられない難問や課題が増えます。

そうしたときに、問題の本質をとらえ、誰が聞いても説得力のある答えを導き出すことのできる、
いわゆる「地頭が強い」人材を、企業側も即戦力として欲しがっているのです。

実は、ヒートアップする中学入試においても、学校側が求めているのは、(特に最近人気が高い公立中高
一貫校では)この「地頭が強い」子供である、と言われています。

(次回に続く)



2008/3/31

<未来をになう子供たちが、身につけるべき力とは(その4)>

前回のコラムで、「最近、若者の仕事力の低下も問題視されていますが、実はこれも視覚イメージと深い関係があります」と書きました。

「学力低下」ならびに「仕事力低下」の例として、先日のNHKの番組でも、企業が新入社員を対象に「簡単な漢字のかきとり」などをさせている様子が取材されていましたが、これは多くの親御さんたちにとって、かなりびっくりする光景だったのではないかと思います。

これは私(カニ先生)は、最近の若者の学力低下について、こう考えています。

(1)親の世代が子供だったときに比べ、今の子供たちは、テレビ・ゲーム・早期教育における習い事・低年齢からの通塾などに時間を奪われ、大人と会話する・異年齢の子供同士で遊ぶ・読書をする・自由に好きなことをして、空想の世界で遊ぶ・などの時間が減っている。

(2)子供は、人との会話の中で、多くのことを学ぶ。たとえば「今日は1時間目に何をして、こんなことがあって、こんな気持ちだった」と自分からお話をするとき、子供は自分の力で「今日あったこと」を視覚イメージ化しながら話している。また、最近の子供が苦手になりがちな構文力・文法力なども、会話の中で大人と話すなかで、身につけていくことができる。(構文力・文法力をアップさせるには、もちろん読書も必要です)

(3)しかし、核家族化や地域社会の崩壊がすすみ、子供が幼児・児童期において家族以外の大人と話す機会が大幅に減少し、多くの子供がテレビやゲームに夢中になっている今日、「言葉を視覚イメージ化する力」「構文力・文法力」が弱い子供・若者が増えている。

(4)幼児・児童期において、「言葉を視覚イメージ化する」力が弱く、また「視覚イメージを活用する学習法」を知らずに成長すると、「マニュアルを読んでも、その内容が理解(イメージ)できない」「簡潔に要点をまとめた資料が作れない」「人との会話の中で、その会話の本質が何なのか、理解できない」などの「仕事力の欠如」に悩むことになる。

余談ですが、これまで中学生・小学生の両方をみてきた私の経験からいうと、「構文力・文法力が弱いと、中学の英語の勉強で非常に苦労する」そして、「高校の現代国語・古文・英語の授業についていけなくなる」というリスクがあると思っています。

ですから、子供が中学、高校と学力を伸ばしていくことを親御さんが望まれるのであれば、この「構文力・文法力をつける」というのは、重要なポイントとなります。

どんぐりの文章題は、実はこの点にも深く配慮して作られています。
(現在公開中のDVD講義を、是非ごらんください)

最近になって、どんぐりの良質の算数の文章題に取り組みはじめると、子供に「こんな変化がありました!」という報告が、複数のお母さまから寄せられました。

「まだスタートして2ヶ月ですが、絵本を読み聞かせているときに知らない言葉があると、それどういう意味?とさかんに聞くようになりました」

この現象は、特に就学前のお子様に、顕著にあらわれるようです。

これは私の推論なのですが、どんぐりで「文章を正確に視覚イメージ化する」という練習をしていると、知らない言葉=視覚イメージ化できない言葉に対して、「これは何?」と敏感に反応する習慣がつくのだと思います。

そして、学力とは、一朝一夕に身に付くものではなく、また塾や習い事でお金を払えば身に付くものではなく、こういった「知らない言葉に敏感に反応する」とか、「知らないことに対して、知的好奇心をもつ」と言った、小さな小さな習慣の積み重ねにほかならないのです。

(次回に続く)



2008/3/10

<未来をになう子供たちが、身につけるべき力とは(その3)>

去る3月8日(土)19時30分より、NHKの「日本の、これから」という番組において、「学力低下」が取り上げられました。中学生、高校生の子供たちも全国から参加して、「それはおかしい」と思うコメントに対しては、「不満」の旗を振ることができる、ユニークな企画だったと思います。

「やっぱりこういう議論になるだろうな」と予想しながら、結局面白くて最後まで見てしまいました。みなさんは、どんな感想をお持ちになられたのでしょうか。

私(カニ先生)は、いろいろなことを考えたのですが、中でも一番印象に残ったのは、子供たちが言った言葉です。

たとえば、こんなコメントが記憶に残っています。

「子供の中には、一度教えたら理解する子と、何度も教えないと理解できない子がいる。先生は、それを分かって欲しいです!」

「僕たちには、これを学ぶとこんな楽しいことがあるとか、そういうことを教えて欲しい」

私が言いたいのは、日本の教育を論じる上で、学力が二極化していることを問題にするのであれば、
「どうして一度教えたらすぐに分かる子と、そうでない子がいるのだろう。その違いは、どこにあるのだろう」
と、本質的なところから考えてみることが重要ではないか、ということなのです。

私(カニ先生)は大学時代、某進学塾の中学生のチューターをしていました。また、「女の先生でこわくなさそう」という理由から、ちょっと勉強の遅れ気味な中学生の家庭教師を、何人も引き受けていました。

そして、あることに気づいたのです。理解の早い子(いわゆる勉強が出来るお子様)は、「こうだよね」というと、「あ、こういうことですね」と、それを一瞬で視覚イメージ化する力があるのです!(それは、教科を問いません)

反対に、学校の勉強が分からないお子様は、「こうなって、こうなるでしょ」、「???」、「だから、こうなって、こうでしょ」、「???」の繰り返しで、最終的には私が、図や表をかいて教えると「ああ」と納得することが何回もありました。

とにかく、英語でも数学でも、出来るだけ簡単な図で「教える」ということを、当時大学生だった私は、ごく自然にやっていたような気がします。

その当時は、「分かるとは視覚イメージ化・イメージ再現ができること」という糸山先生の理論は、もちろん知りません。

しかし、中学生の出来る子、出来ない子を多数見ていた経験から、「視覚イメージ化できるように教えないと、分からせることができない」と自分なりに、理解していたのだと思います。

ここで学校の先生や、教育の研究者たちに言いたいことは、「子供たちの学力が低下している」、「学習意欲が低下している」、「このままでは、国が滅びる」と大騒ぎするまえに、「その原因は、どこにあるのか」子供の立場に立って、もっと深く、様々な角度から掘り下げて欲しい、ということです。

私が考える「学力低下」に対する解決策は、非常に単純です。視覚イメージは、すべての学習のプラットホームになるのですから、小学校での学習を「子供たちが、すべての教科で視考力を養成する!」という視点から、再構築していけばよいのではないでしょうか。

最近、若者の仕事力の低下も問題視されていますが、この「仕事力」も実は、視覚イメージと深い関係があります。

先輩から「こうして、こうして」と説明されても、そのつど「???」となっていては、重要な仕事は到底まかせてもらえません。

未来を担う子供たちが、堂々と自分に自信をもって広い世界に羽ばたくためには、この「視考力」という翼が、必要不可欠なのです。

(次回に続く)




2008/3/8

<未来をになう子供たちが、身につけるべき力とは(その2)>

前回のコラムで取り上げた生キャラメルですが、ネット上でも人気のようです。

私(カニ先生)が言いたかったことは、価値観が多様化している今日、ニッチなマーケットでも必ず一定数の顧客がいて、アイディア次第では、資本力の大小に関係なくビジネスが成り立つ、ということです。

考えようによっては、歴史上かつてないほど、面白い時代だと思いませんか?

これからの世の中は、新しい「付加価値」を生み出すことのできる人には、成功の追い風が吹いています。知識資本主義社会においては、自分の持っている知識や経験、能力そのものが財産となりますので、それを常に工夫して磨き続けることも重要なポイントです。

働き方そのものも多様化しています。高度経済成長の時代には、一度会社に入ると、何歳で課長、何歳で部長、そして何歳で定年というレールがありました。しかし、現在では誰もが管理職になれるわけではなく、成果主義が企業に浸透しています。

転職もあたりまえになっている今日、(アメリカでは一生のうちに一人平均7回転職するそうです)誰もが真剣に、「どのような働き方」をしていくのか、「何を仕事に選ぶのか」自分のキャリアを考えざるを得なくなっています。

このように大転換期にある日本の将来を考えたとき、次の世代を担う子供たちが身につけるべき力、本当に必要な資質・能力とは何なのか。多くの親御さんたちが、一番不安に思われているところではないでしょうか。

そこで先日ある雑誌で見た、興味深い記事をご紹介させていただきます。

世界が認める経営コンサルタントの大前研一さんですが、何と息子さんは、中学校ドロップアウトだそうです。その大前さんが、「脱学校の教育術」として、次のようなことを述べておられるのを、私は大変興味深く拝見いたしました。

「学校で教わることを暗記するだけの勉強をやっていても、グーグル時代を生き抜くビジネスマンにはなれません」

「今は、答えのない時代です。未知の領域に立たされたとき、自分の頭で考えて、問題解決できる人材でないと、メシを食っていけない。だから、子供には、学校の勉強ができるよりも、将来どうやってメシを食っていくかを常に考えさせるし、親として一緒に考えてあげることが大切なのです」

大前さんの家庭では、このような教育方針のもと、家族旅行に行くときは、子供たちにも計画をたてさせ、誰が面白かったかを競わせていたそうです。

中学生になると、次男は自分で「コンピュータをやる」と決めて、コンピュータの先生を自分で探して連れてきたばかりか、3年生のころには、プログラミングのアルバイトで自分で稼ぐことができるようになったそうです。

長男も次男もいまや、若くして専門分野のプロフェッショナルになっており、分からないことがあると、大前さんも子供たちに教えてもらうのだとか。

「次男が自分でコンピュータの先生を連れてきた」というのがすごい!と思います。
(週刊現代 3月1日号より)

(次回に続く)



2008/2/20

<未来をになう子供たちが、身につけるべき力とは(その1)>

私たちどんぐり教育研究会は、毎日たくさんのメールやコメントをいただきますが、最近あることに気がつきました。
それは、「子供にはできるだけのことをしたいと思っていますが、どうすればいいのか、とても不安です」といった内容のメールが少なくない、ということです。

確かに今、この時代に子育てをすることの不安は、誰にでもあります。あって当然ではないでしょうか。
その不安の正体を、私(カニ先生)は、次のように解釈しています。(以下少し長くなりますが、ご容赦ください)

明治以降、日本は国をあげて工業化社会の実現に取り組み、戦後はひたむきな努力によって高度な工業化社会・経済大国を築きあげました。しかし、1980年代以降、経済の停滞、財政の破綻、出生率の低下、そしてバブル崩壊により、戦後日本を支えてきた日本社会のキーワードともいうべき、幾つかの神話が、崩壊していきました。

まず、経済は右肩あがりの成長を続けるという「経済神話」。
偏差値の高い大学を出れば、一生安泰であるという「学歴神話」。
さらには、大企業に入れば保証されるという「終身雇用神話」が次々と崩れ、それが私たちの「将来に対する漠然とした不安」の原因となっているような気がします。

今私たちが生きているこの社会は、とんでもない変化と大転換の流れの中にあります。
モノ、カネ、情報、人が国境を越えて移動する「グローバリゼーション」、

工業生産からサービス産業に比重が移り、生産性の向上や経済成長の原動力として、
「知識」が何よりも重視される「知識資本主義社会」。

このような「知識資本主義社会」においては、個々人は学歴や年齢ではなく、「果たしうる役割」によって評価されるようになると私は思います。

つまり、大変厳しいことなのですが、マニュアルによって動く単純作業に従事する人の地位・報酬はあがりません。
反対に、年齢は若くても、豊富な知識と柔軟な思考力によって、新しい「価値」をうみだすことのできる、社会や企業にとって有為な人材は、高い所得をえるようになります。

私(カニ先生)が、「自分で考え、自分で感じ、自分で判断できる子供」にこだわるのは、「これからの時代、人の作った基準でしか動けなかったり、誰かが何とかしてくれると、判断を人任せにしていたら、幸せになれない!」と強くそう思っているからです。

しかしながら、自分で考え判断し、さらには新しい価値をうみだすとはどういうことなのか。少し漠然として、分かりにくいかもしれません。そこで、ある事例をご紹介したいと思います。

田中義剛というタレントさんをご存知でしょうか。
タレント活動をしながら、北海道の十勝で酪農を営み、「花畑牧場」ブランドの生キャラメルを大ヒットさせています。

田中さんは芸能活動をしながら、北海道で牧場をやる、という夢をずっと考え続けていたのでした。
33歳のときに土地を探しはじめ、やっと土地を購入しました。農協からは「牧場をするなら借金をして、最初に牛を100頭飼え」と言われ、喧嘩しながらも、「牛一頭で!」牧場をスタート。独学で乳製品をつくりはじめました。

牛一頭からでる牛乳は毎日30キロ。牛乳として出荷するよりも、それを良質のブランドチーズにすれば、1キロ5000円の値段がつけられる。田中さんは、そこに目をつけ、牧場はみるみると成長していったのです。

ここで私が「なるほど」と思ったのは、田中さんが「僕は素人だから、農協の言うことをきこう」ではなく、あくまでも自分で情報収集し、こうではないかと仮説をたて、検証し、そして判断していることです。

また親友である東国原宮崎県知事と、「これからの時代、一つのことをやる時代じゃない。二兎でも三兎でも追って、リスクヘッジをかけなきゃだめだ」と話をしていたそうです。(プレジデント社 プレジデント 2008.1.14号)


(次回に続く)


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