AWHB 03-049
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文:どんぐり教育研究会
マンガ:おちゃづけ

どんぐり・スマイル <6>
「幼児・児童期の学習において大切なこと その2」


9歳までに、何が大切かというと、「本物をみせてあげる」ということにつきます。夕日を一緒にみたり、電線に止まった小鳥の名前を図鑑から探したり、子供の心が沈んでいるようなときは、しっかり抱きしめてやったりと、親子関係にしても、本当の愛情や信頼関係を子供に見せてあげる、ということにつきます。
         歩く脳科学者・大島清先生の言葉より



「幼児・児童期の子供を持つママにとっては、ちょっとドキドキする内容です。忙しくても、子供とじっくり向き合い、いろいろな体験をする機会を作ることが大事なんですね」
先日、このコラムを読まれたあるお母さまから、このようなコメントを頂きました。

「子供とじっくり向き合う」「いろいろな体験をする機会を作る」というのは、忙しい現代社会で子育てをする親御さんにとっては、確かに容易なことではありません。

そこで、
私がおすすめしているのは、子供のための教育を、毎日の生活と切り離して考えるのではなく、「子供と一緒に買い物や図書館に歩いて行き、ちょっと時間をかけてお散歩する中で行う」という、「お散歩教育」です。

お散歩は、歩きやすい服と靴をそろえれば、いつでもスタートすることができます。コースにもよりますが工夫をすれば行き帰りに、季節の生き物や植物、吹く風の強さや冷たさ、太陽や雲の変化など、気象に関することも見聞きし、感じることができるのです。

実は、この「お散歩教育」は、子供の脳の発達には大変重要で、必要なことなのです。快適なようですが、部屋の中というのは、変化や刺激が少ない空間で単純な刺激しか頭に入ってきません。

「うちの子は、いつも家の中にいる」というご家庭では、親御さんが積極的に外につれていくように、心がけてあげることをおすすめします。
身体を動かしながら、脳を動かすのは、発達途上の子供の脳の生理には、一番あっているのです。
     

もうすぐ春がやってきます。新芽や花のつぼみを、あちらこちらに見つけながら歩く、春のお散歩は多くの発見にあふれており、大人も子供も「ワクワク」するものです。一緒に歩きながら、出来るだけ声をかけ、子供にも話をしてもらいましょう。

最近のゲームやテレビアニメの、強い刺激に慣れてしまったお子さんは、最初のうちは「歩くの面倒くさい」「つまらない」と、抵抗するかもしれません。しかし、ここが親御さんの、腕のみせどころです。

子供が「興味無さそう」にしていたら、「ちょっと、あの新しい芽を見てごらん」と、気付かせてあげたり、子供の好きな「小さな虫」をとってみたり、いろいろと工夫をしてみましょう。

子供のときにみた風景。子供時代のすぐれた五感を動員して、感じとった体験の一つ一つは、「原形イメージ」として、一生を通しての「理解力」「思考力」のもととなり、さらには人格形成にも大きな影響を与えます。

日本には「氏より育ち」「木の個性を見るには、森を見よ」といった、言い伝えがあります。つまり、子供時代の環境設定が大事、ということを言っているわけですが、私は詩人の「金子みすず」の故郷を訪ねたとき、その言葉を本当に実感しました。

「童謡詩人」として、世界中に多くのファンを持つ「金子みすず」の故郷は、山口県のとある漁村です。そこでは、昔から「くじら」を獲る漁がおこなわれていました。

「くじら」を獲る漁で生計をたてているので、「金子みすず」の故郷では、慣習としてくじらに1頭ずつ「戒名」をつけ、毎年供養をしていた、ということを、私は「金子みすず」記念館を訪問して、初めて知りました。この環境が金子みすずの素晴らしい感性や、優しい心を育てたのです。

     

どんぐり学習法に取り組んでいるご家庭で、多くの親御さんが悩まれることの一つに、「子供が絵をかくことを嫌がる」「分からない、といって文章をイメージすること、考えることを嫌がる」というものがあります。

しかし、親御さんが「子供を変えよう」「何とか子供に絵をかかせよう」としても、決してうまくはいきません。大切なことは、子供が「楽しく、絵がかきたくなるような」環境づくり、それしかないように思います。

そして、その基本になるのは、前回のコラムにもかきましたが、「子供においしい食事を食べさせ、愛情あふれる言葉をかけ、自由な遊びの時間と場所を保障すること」また一つの「五感を刺激する」具体例として、「お散歩教育をすること」これだけで十分なのです。

たとえば、どんぐり文章題が好きで、楽しく取り組まれているというお子さんの絵を拝見すると、絵の中に感動体験や、好きなものがいきいきとかかれており、見ていて感動することがあります。

どんぐり学習に取り組まれている親御さんからは、「うちの子はこれが好きなんだ」「最近は、こんなものが気になるんだな」と、子供の性格や心理状態がよく分かるになった、というお便りをいただくこともあります。

たとえば、どんぐり文章題の低学年向けの問題の中には「公園・空・海・小さなかばさんと、大きなかばさん・どんぐりあつめ・校庭にできた落とし穴・バッタのお母さん」等などが登場します。

どんぐり文章題にお手本の絵はないので、子供たちは自分でイメージしてひとつひとつの言葉から好きなように絵をかくことができます。しかし、実際に親御さんも取り組んでみると実感できますが、これが「簡単そうで、結構難しい」のです。

たとえば、「大きなかばさんは、半分の時間で、小さなかばさんとおなじりょうの水をのみます」という文章を絵にするのは、大人でも「うんうん」うなりながら、かなり頭を使うのではないでしょうか。

実は絵をかく、というのは、誰にでもできることのように見えますが、本当は、大変高度な「創造行為」なのです。

この「かばさん」の問題では、まず「小さなかばさんと、大きなかばさん」をイメージして絵にかくだけでも、「かばさんの表情は?目は、口は?」「大小のかばさんの、比や大きさのバランスは?」といろいろな事を考え、頭をぐるぐる回転させることになります。

このように、絵をかくには「手の動き、目の動き、さらには感情や意欲」が必要であり、反対に絵をかくことでこれらの発達を促すこともできるのです。

何よりも絵をかくとは、自分の意思通りに手を自由に動かすことです。
それは将来「仕事」をするため、生きるための「手」を育てることにもなります。また、自分の感じた感動や、自分なりの発見を生き生きと物語る絵がかける、ということは、子供の内面に「気付く力や感じる力」が育っている、ともいえるのです。

        2011/02/26掲載

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