AWHB 03-049
Home リンク

文:どんぐり教育研究会
マンガ:おちゃづけ

どんぐり・スマイル <9>
「情報過多のテレビ時代に、
          子供の目と脳を守る その1」


子供の頃は、穴を掘るのが面白くて、よく掘っていたんです。「うん、いい穴が掘れた」と満足して、あっちこっちとつなげようとやっていました。
         絵本作家・五味太郎先生の言葉より



先日あるお母さまから、メールで次のようなご相談をいただきました。

「うちの子は、どんぐり文章題で絵をかくこと、イメージすることがとても苦手なようです」
「文章にかいてある通りに、絵にしてみよう、と声をかけても、分からないと、子供に言われます。本当にどうすればいいのか、悩んでいます」
このような内容のご相談はとても多いのです。

私は、毎日平均2〜3件のメールや電話での教育相談にお答えしていますが、その他にも特に多いご質問としては、次のようなものがあります。

「集中力がない」「落ち着きがない」「物覚えが良くない」「人と会話することが苦手」「何事もすぐにあきらめてしまい、中途半端」「すぐに、分からない、知らないと言う」「表情が乏しい」「字が雑で汚い」「朝すっきりと起きない」

このコラムを読まれている親御さんの中にも、「ドキドキ!うちの子にも、あてはまるかも」とそう感じられた方が、いらっしゃるかもしれません。

実は、親御さんからみると「何で、うちの子は・・・・」と悩んでしまうようなお子さんの行動は、身体の中のある部分を鍛えることで、改善することが出来るのです。

もちろん、一朝一夕には難しいですが、コツコツと(親子で)我慢強く、あるものを鍛えていけば、吸収力のある幼児・児童期の子供は「こんなに変わったの!」と、親御さんが驚くような成長が期待できます。

では、それは一体何なのでしょうか。
     

私はこれまで、ゼロ歳から中学3年生まで、数多くのお子さんを指導した経験があります。

その中でとても大切な、あるポイントに気がつきました。
それは、「集中力や理解力など、その子の状態を把握するには、目の動きをよく観察すればいい」ということです。

「目は心の窓」と言う言葉があります。

(経験をつんだ)お医者さんや法曹関係者は、「目の動き」だけでも、人の病気や心理状態が分かる、と言われています。

実は、
目とは、そもそも、「脳から発生した器官」です。
人間が、母の胎内でひとつの細胞として誕生し、その細胞が分裂を繰り返す中で、腸から芽がとびだすように脊髄がうまれます。さらに、その脊髄の先端の脳から、細胞の一部が伸びて出来るのが「目」なのです。

構造的にも「目と脳」は、まさに「一心同体」という存在。
私自身の経験から言えば、
「人との会話が苦手」「忘れ物が多い」「イメージ力がない」「集中力がない」「理解力がない」と親御さんからご相談を受けるお子さんとお話すると、何となく目の焦点がぼけていて、どよん、としている場合が多いのです。

もちろん、個人差はあるのですが、「周囲の物事を、意欲的に見てやろう」というキラキラした目の光や、観察力、想像力に、「???」を感じることが、決して少なくありません。

逆に言えば、目を鍛えることは同時に「脳を鍛えることになり」、子供たちの集中力や観察力がアップする、と感じます。
(集中力や観察力は、学校の授業の内容をしっかり吸収する上で大事なだけではなく、子供たちが激動の時代を生き抜いていく、生きる力、そのものです)

「うちの子は、一生懸命に頑張っている」「それなのに、なかなか勉強の効果が出ない」と悩まれている親御さんは、少し時間をとって、日常生活の中での「お子さんの目の動き」や「表情」を、よく観察してみられることを、強くおすすめしたいと思います。

現代は、テレビやゲーム機、DVDの氾濫など、まさに情報化社会です。乳幼児の頃から、毎日何時間もテレビやDVDを見て育つ、というお子さんも、決して少なくはありません。

最近では、
何時間もテレビを見る生活の中で、蓄積された目と脳の慢性疲労が、子供の「イメージ力」や「集中力」を下げている、と指摘する専門家も増えています。
     

日本小児科医学会の「子供とメディア」対策委員会は、2004年に次のような提言を行いました。

1.2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えましょう
2.授乳中、食事中のテレビ・ビデオの視聴はやめましょう
3.すべてのメディアに接触する総時間を、制限することが大事です。1日2時間までを目安と考えます
4.子供部屋には、テレビ・ビデオをおかないようにしましょう
5.保護者と子供で、メディアを上手に利用するルールを作りましょう

では何故、脳が未完成な、発達途上の子供にとって、テレビやDVDの過剰な視聴が良くないのでしょうか。

「場面のカットが短く、めまぐるしいはやさで画面が変わっていく」「登場人物の言葉が乱暴で、断片的な言葉が多い」「爆発や戦闘シーンのぎらぎらした光が目を疲れさせる」などの理由が、すぐに考えつくと思われます。

テレビのスイッチを入れれば、すぐに面白いアニメや、刺激的なバラエティ番組を見ることができる。気に入らなければ、チャンネルをぱっと変えるだけ。

これが日常化した環境の中では、どうしても「じっくり・ゆっくり」「粘り強く考える」「見えないものを思い浮かべ、想像する」等の力は、なかなかつきにくいのが現状です。

以前ある教育に関する講演会で、長年子供たちを見ている保育園の先生が、こんな発言をされていたことを覚えています。

「私たちが子供の頃は仲間数人で、何日もかけて穴を掘ったり、一つのことに、時間をかけて取り組むのが、子供の遊びだった」

「道具がなければ、自分で作り、何事も意欲的に工夫していた」

「最近の子供は、生活も遊びも受け身で、自分からやってみようと決めたことに、何日もかけて取り組む経験が少ない。これが、いろいろな意味で大きな問題だと感じている」


現代の日本は人類の歴史上、かつてないほどの「情報過多社会」さらには、「高度に文明化された社会」です。
子供たちを取り巻く環境は、大人の想像以上に「激変」しています。

その中で「いきいきと物事に取り組む子供」「観察力・想像力のある子供」に育てるのは、どうすればいいのでしょうか。

(次回に続く)

        2011/04/04掲載

サイト内の記事・写真・マンガ・アーカイブ・ドキュメントなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載等を禁じます。


Copyright(C) 2008 Donguriclub All Rights Reserved