AWHB 03-049
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文:どんぐり教育研究会
マンガ:おちゃづけ

どんぐり・スマイル <17>
「絵をかくことで育つ力 〜想像力と共感力 その7」

相手が誰であっても、うっかり怒りにわれを忘れ、攻撃的なことを言わない練習。そんな言葉を投げつけるなら、報復の爆弾が君に投げ返されるだろう。「あなたの優柔不断なところが嫌なの」などと、相手の一番痛いところをチクと刺すなら、言われた相手に怒りが伝染し、相手もまた君が一番言われたくない言葉を返してくる。
こういった興奮から生じる言葉は、言われるのはもちろん、言うときにも、自分自身の心を傷つけ、身体を疲れさせる。
  月読寺住職・小池龍之介編訳「ブッタの言葉」より



先日、あるお母さまから、次のようなメールでのご相談をいただきました。
「どんぐりの取り組みをスタートして、半年になります。子供は小学2年生です。一緒にどんぐり文章題に取り組んでいると、字が汚い、絵図が適当、文章をよく読まないなど、子供の悪いところばかりが目につき、苦しくなってしまいます」
親の思う通りにならない(親の納得するような絵図がかけない、正しい答えが出せない、分からないといってふてくされる)と、言葉で子供をコントロールしようとする自分に気づき、嫌になってくることがあります。」

子育て中のママたちとお話をしていると、子育てに関する悩みはつきません。赤ちゃんの頃は、ママは寝る暇もなく大変といえば大変なのですが、ただひたすらにおむつをかえて、お世話をしていれば、子供はご機嫌で、ニコニコ笑っていました。

それが成長するに従って、
「親の言う事を聞かず、口ごたえばかりで腹がたつ」
「友達と喧嘩ばかりで、親も肩身が狭い」
「勉強がさっぱり分かっていないのに、全く気にしていない」など、親の目からみて理解に苦しむ言動や、お友達とのトラブルなどにふりまわされ、
「うちの子は、何を考えているのかさっぱり分からない」
「子供の気持ちが見えなくて、不安になる」
「このままではいけない」
と感じる親御さんが増えているのではないでしょうか。

私は毎日、子育て中の親御さんからのメールやお電話でのご質問やご相談にお答えしています。

その中で、最近強く感じることがあります。

実は、これは対子供に限ったことではなく、大人どうしの関係でも同じなのですが、自分の性格や能力などの面で気になるところに関しては、自分以外の人に同じような要素をみると、「あー、こんなのは嫌だ。許せない」と過剰に意識してしまう、という傾向が誰にでもあるように思います。

           

たとえば、親御さんご自身が、
「自分は片付けができない」「片付けが下手なので、好きだった彼にふられた事がある」という、過去の記憶をひきずっているとします。(自分は飽きっぽい、社交的な方ではない、中学の数学が苦手だったなどでも同じです)

その場合、
子供が、「自分と同じ、いやそれ以上に片付けが下手そうである」(飽きっぽい、友達づきあいが下手、算数が苦手)と感じると、なんだか自分の悪いところを見せつけられているようで、ガミガミと、必要以上に口うるさく子供を叱るようになりがちです。

以前、ある心理カウンセラーの先生が、小学校の教室でアンケートをとった際に、「ズボンのポケットにハンカチを入れたまま洗濯機に入れただけなのに、出ていきなさい!あなたは、うちの子ではありません!という勢いで怒鳴られた・・・」という内容の発言をしたお子さんのエピソードを、講演で話されていました。

客観的にみると、「本当かな?」と思ってしまいますが、時と場合によっては、こういう怒り方をする親御さんも、決して少なくはないように思います。

でも、実際にはこうした親御さんの言動は、子供のやる気を殺いでしまうだけではなく、実は親御さんご自身をもダメにしてしまうようです。

まず、こういう言葉を口にしていると、言っている本人も決して愉快ではありません。大人どうしでも、口論したあとは、決して愉快にはなれませんが、ましては相手は、自分の血をわけた愛するわが子なのです。

イライラしたあげく、こうした言葉を子供に向けたあとでは、「私って、子育てに向いていないみたい。どうしていつも、こうなのかしら」と、自分を責めることになります。

ここで私が、
「どうしてもイライラしてしまう」という問題の解決策として、多くの親御さんにおすすめしたいことがあります。
(ご参考にしていただけると嬉しいです)

                

それは、
「子供を怒りたくなったら、これは子供の問題なのか、それとも親である私自身の問題なのか、と一呼吸おいて、冷静に自分に問いかけてみる」ということです。

もう少し詳しく言うと、
何か物事が起こったときに、それを
■「客観的な事実」と「それに対して生じる、自分の感情」に分けて考える
■「理不尽に怒ったり、攻撃的な言葉をはいたりしない」
ということになります。


実は私自身、今現在日常生活の中でこの「事実」と「感情」を分けて考えるというトレーニングを実践中なのですが、以前に比べると、感情のコントロールが出来、イライラしたり、日々の様々な出来事に対してカッと攻撃的になることが随分と少なくなってきました。
(先日主治医から健康診断を受けましたが、脈がゆっくりしているとほめられました)

実は、この
「感情をコントロールするトレーニング」の有効性は、子育てに限ったことではなく、今この先の見えない、不安定な時代を生きる日本人として、非常に大切なことではないか、と感じています。

今年の3月11日におこった未曾有の大震災後、日本中が悲しみや不安、「政府は何をしているんだ」「世界経済はどうなるのだ」「日本はこのまま、大恐慌に突入するのではないか」という憤りなど、ネガティブな思いに覆いつくされています。

これから東北には、寒くて暗い冬がやってきます。私自身、親族が仙台で暮らしていますが、家族をなくされた方々がどのような気持ちになられるのか、と考えると非常に悲しく、いてもたってもいられない気持ちになってきます。

しかし、冒頭の月読寺住職(仏教王子として人気の)小池龍之介先生の言葉によれば、これらの感情は、ネガティブなモードでの「脳内麻薬」の一種なのです。

生じた事実は「大災害が発生した」ということだけ。
それに対して生じる嘆きや無力感は、実は脳内で、現実を原料に情報加工された妄想にすぎません。
その
「脳内妄想」に翻弄されず、ただそこにある事実を事実として、客観的に受け止め、そこから何をなすべきかを冷静に考えることが、今最も必要なことであると感じます。

「心が混乱したままですと、善意もおしつけになったり、自分と異なる考えの方に怒りが生じたりもする」
小池龍之介先生の現代的な解釈による、「ブッタの教え」を、今日も深く心に刻み、じっくり・ゆっくり・丁寧な生活を心がけていきたいと思います。


(次回に続く)

        2011/09/27掲載

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