AWHB 03-049
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良質の算数文章問題 学年別・要点の整理

要点1:準備学習の重要性
 

十分な「準備学習」は、学校の授業を深く理解できる子供を育てる!

ベストセラー「親力で決まる」(宝島)などの著者である、小学校教師歴23年の親野智可等(おやのちから:ペンネームです)氏の本に、こんなことが書いてありました。

算数ほど「できる・できない」がはっきりする教科は他にありません。たとえば、2年生の授業で、まだ九九を学んでいない子供たちに、次のような質問が出されたとします。
「キャラメルを1人あたり3個ずつ配ります。5人の子供に配るとしたら、全部でキャラメルは何個になりますか?」

すると子供たちは、いろいろな方法でこれを解こうとします。ここで大切なのは、何とかして自分で答えを出そうとする意欲なのです。ところが現実には、子供たちの意欲には、かなりの差があり、あれこれ試行錯誤して考える子もいれば、どうしていいのか分からないので、何一つしようとしない子もいます。
そういう子供たちの多くは、「問題が示した場面のイメージ」が湧いてこないのです。

同じように学校で習ったことを、授業内で深く理解する子と、なかなか理解できない子がいます。どうしてでしょうか?(学生時代に家庭教師をされた方や、塾で教えた経験のある方なら、一度はこんな疑問を持たれたことがあるはずです。)

実は、一度授業で習っただけで、深いところまで一気に理解してしまう子は、事前に十分に「準備学習」をしているのです。

  要点2:良質の算数文章問題に隠された準備学習とは 
 


2年生の授業を例にとってみましょう。

どんぐり倶楽部の良質の算数の文章題の、1年生コースの中に沢山でてくる、「かけ算につながる足し算」を十分にやっておいたお子さんは、自然とこんなふうに解こうとします。

「5人の子供に、3個ずつか。これって、フンコロガシの問題に似てるな〜 でもあの問題より簡単そうだ。ちょっと絵に描いてみよう。だけどやっぱりこんなに足していくのって、めんどくさい!もっと簡単にできないかな・・・」

そこで学校の授業で「かけ算」を教えられたとします。すると「あ!こんなこともできるんだ。一つずつ足さなくていいんだ!これってすごくラクちん。面白いね」と、一瞬で理解してしまうのです。

それでは、保護者の方は、どんなところに気をつけて、お子さんと一緒に準備学習に取り組めばよいのでしょうか。

文部科学省の「小学校学習指導要領解説・算数編」には、◆数量や図形についての算数的活動を通して、基礎的な知識と技能を身に付け、日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考える能力を育てるとともに、活動の楽しさや数理的な処理のよさに気づき、進んで生活に生かそうとする態度を育てる◆とあります。

つまり、算数を学ぶのは何のためかといえば、「日常の事象について筋道をたてて考えたり」「生活の中に生かしたり」できるようにするためなのです。

  要点3:毎日の生活のなかでの準備学習 
  ですから、できるだけ毎日の生活の中で、お子さんの興味にあわせて「算数的な興味を引き出すような言葉かけ」を沢山してあげてください。

具体的には、「スーパーでかうと1冊120円のノートが、100円ショップでは3冊100円だって。1冊あたりいくらやすいのかな」とか、「今1時間で60キロ走っているけど、あと10分したら何キロ走るかな」など、日ごろから親子で考えてみるのです。小学校高学年でつまずくポイントである割合も、スーパーのちらしをいつも見ていると、自然に身近なものに感じられます。

さらにもっと実戦的なのは、「お買い物」と「お手伝い」です

1000円札一枚を持たせて、スーパーでお買い物をさせてみましょう。

「110円のお豆腐を、2丁買ってきてね。それと、牛乳のパックを1本と、50円のどら焼きを5個・・・」とか、「古い新聞紙をくくるから、このひもから長さ60cmのひもを、5本作ってね。その残りで50cmのひもが何本できるかも教えて」とか。

お子さんたちは、自然と「たし算やひき算、かけ算・わり算」を工夫しながら使うようになっていきます。そこには、お子さんたちが最も嫌がる、勉強の押し付けや、無理な詰め込みなどはないのです。

 
  要点4:学年別・取組のポイン
  <年長さん問題のポイント> 
  年長さんコースでは、「かずの概念化」が重要なポイントです。
身の周りのものに対し、「集合数」という認識を持つことは、算数ができるようになるための基礎となります。
1から10まで、そして10より多くなると10は一つの塊とみなす、いわゆる10進法のとらえかたが理解できることが大切なのです。


1年生になったとき、学校で習う重要なポイントは、「100までのかず、なんばんめ、繰り上がりの足し算、繰り下がりの引き算」です。

年長さんコースの中では、「どちらのほうがいくつ多い、少ない」という差の概念、そして「あわせるといくつ、みんなでいくつ、ふえていく、ぜんぶで」などの足し算、「残りはいくつ、違いはいくつ、へっていく」などの引き算につながる準備学習を十分にされてください。

また「○○するたびに」「○○までに」「半分で」「一つずつ」などのさまざまな言葉を生活の中で楽しく身につけること、さらに外遊びなどの体験を通して、いろんなイメージを容易に浮かべることができるようにしてあげることが大切です。

                                               
 
  小学校1年生コースのポイント 
  小学校1年生コースでは、「赤は白より3本多い。赤は全部で5本。では赤と白を足した数は」という逆思考と、違いを考えてそれぞれを求めるための準備学習が、沢山でてきます。

実はこの逆思考というのは、子供にとって難しいので、つまずきやすいポイントの一つでもあるのです。さらに2年生になったとき、学校で習う重要なポイントは、「10000までのかず、掛け算、長さの単位、時計、倍の使い方」となります。


そこで小学校1年生コースの中では、「○○は○の何倍です」という倍の概念、そして「掛け算につながる足し算」「1000を越える大きな数字」につながる準備学習を十分にされてください。
ただし、あくまでも、「学校の授業で習ったときに、深く一瞬で理解できる」ようにするためです。
ヒントを出しすぎたり、学校の授業を先取りして教えこんではいけません。

(ご参考:倍ってどういう意味?と子供に聞かれたら、一つ分だと一倍、二つ分だと二倍だね、と教える。その時に理解できず、絵に描くことができなければ、無理に教えない。分からん帳に入れておく)

 
  <小学校2年生コースのポイント> 
 

小学校2年生コースでは、「単位: 1センチは10ミリ、1メートルは100センチ」と「時刻と時間」を身につける問題が沢山でてきます。実はこの単位と時間は、最近のお子さんが非常につまずきやすいポイントなのです。
日ごろから、ものさしや巻尺を使って、実際にものを測ったり、時計をよく見る習慣をつけることも大切です。


さらに3年生になったとき、学校で習う重要なポイントは「〜千万までのかず、割り算、長さの単位キロメートル、時間の秒、分、重さとかさ、掛け算の文章題」となります。

そこで小学校2年生コースの中では、単位換算、「割り算につながる問題」「時刻・時間・距離に関する問題」などの準備学習を十分にされてください。絵や図を使って、時間や距離を「かたまり」としてとらえると、あえて計算しなくても答えが見えてくる、これを理解することが、最重要点となってきます。

さらに割り算に関しては、ドリルの中では答えられても、「10個で120円のお菓子、一個いくら?」ときかれて、高学年でも割り算をつかうことを全く思いつかないお子さんがたくさんいらっしゃいます。割り算の本当の意味を理解しているお子さんは、本当に少なく、そういった意味でも十分な準備学習をおすすめいたします。

  <小学校3年生コースのポイント> 
  小学校3年生コースでは、「上位3人の記録をあわせると、下位2人の合計のちょうど4倍」、「上位3人、下位2人の合計が50メートル」のように、重要点が2つふくまれている問題が沢山でてきます。
この問題のように、2つの重要点をどうかくか、そして絵図の一部を動かして、必要な情報を導き出すという、「視覚イメージを操作する力」を身につけることが大切です。


さらに4年生になったとき、学校で習う重要なポイントは、「兆までの大きなかず、概数、小数と分数の意味とあらわしかた、小数第一位の足し算、引き算、大きな数の割り算、ともなってかわる数量、円と球、長方形・四角形の面積、割り算の文章題」となります。(4年生になると、本当に習うことが増えるのです)

そこで小学校3年生コースの中では、大きなかず、「2けた、3けたの割り算につながる問題」、「ともなってかわる数量」などの準備学習を十分にされてください。
また小学校3年生コースでは、おきかえを使った問題も、沢山あります。(例 お菓子を2個と、お菓子1個のちょうど3倍の値段のおもちゃを買うと・・・・など)
これらが、中学校で習う方程式につながっていくのです。
 

  <小学校4年生コースのポイント> 
  小学校4年生コースでは、「カブト虫、重いクワガタ、缶は同じ重さで、軽いクワガタはその半分」、「軽いクワガタを基準として、重さを求める」のように、基準となる値を中心に、複雑な問題から絵図をかきおこしていく問題が沢山でてきます。「絵図、筆算、計算式、答え」をきちんと意識して、回答をつくっていく力を身につけることが大切です。

さらに5年生になったとき、学校で習う重要なポイントは「同分母の分数の足し算、引き算、三角形や円の面積、多角形の内角の和、円周率、小数倍の文章題、割合と百分率、円グラフ、帯クラブ」となります。

そこで小学校4年生コースの中では、割合、「三角形や円の面積」「小数倍の文章題」などの準備学習を十分にされてください。未習の問題については、「見せておくだけ」でもよいのです。

割合については、生活の中で「今日はスーパーの冷凍食品が4割引きだね」などと使っていると、感覚的に理解できるようになります。

また小数の第一位を使うことは、生活の中でもよくあることを、教えてあげましょう。例えば月の平均気温は、31日間の気温を合計して31でわるのですが、わりきれないで17.85・・・・となっているのを、四捨五入して17・9度とあらわしているのです。


 
  <小学校5年生コースのポイント> 
  小学校5年生コースでは、「割合と比」、「中学2年生で習う連立方程式」、「時間と距離」、「最小公倍数、最大公約数」などの問題が沢山でてきます。

高学年になったら、問題文を読みながら、「絵図、筆算、計算式、答え」をどのように配置するか、イメージすることも大切です。


さらに6年生になったとき、学校で習う重要なポイントは、「倍数・約数、通分・約分、異分母の足し算、引き算、真分数の掛け算、割り算、単位あたりの量、体積、分数倍の文章題、比の使い方、比例の式とグラフ、平均」となります。

そこで小学校5年生コースでは、体積、「単位あたりの量」、「割合と比」、「平均」などの準備学習を十分にさせてください。 

<小学校6年生コースのポイント>
  小学校6年生コースでは、「割合と比」、「中学校2年生で習う連立方程式」、「平均」、「時間と距離」などの問題が沢山でてきます。
思考力養成の仕上げとして、理論展開が誰にでもわかるように、工夫して絵図をかくことも大切です。


さらにどんぐり方式ならば、中学入試でもっとも理解が難しいとされているニュートン算(増えたり減ったりする量が一定のものを同時に考えてみる、仕事算の応用)も、○○算とかまえることなく、普通に絵図でといてしまう力がつきます。

また小学校高学年でのつまずきポイントである、小数計算は、中学校以降では一切使いません。すべて分数計算でするのです。
そこで小数を分数にして計算する分数計算をしっかりしていると、中学校以降の学力が伸びます。


小学校高学年で多くのお子さんが、分母が違う分数同士を計算するときの通分、約分の考え方、比の使い方とグラフなどつまずいてしまいます。
しかし、どんぐり方式で自分で絵図をかき、十分に準備学習をすすめてきたお子さんは、割合や比の原理さえも、深く理解する力がついてきます。


このようにどんぐりの問題は、子供たちが自分であれこれと工夫しながら絵図をかくことで、中学以降に習う方程式や関数の概念でさえ、「分かった」と体で理解していくように構成されているのです。

まとめ
 

どんぐりの問題に取り組まれているときは、お子さんに「早く解かせようと」ヒントを出してはいけません。
「これってどういう意味?」と聞かれたら、言葉の意味は教えます。

「こうやってとくのよ」と教えられるのではなく、「どうしようかなあ」と工夫をして、オリジナルの楽しい絵をかいている間に、子供たちはたくさんのお宝をゲットしていきます。

中学校でならう方程式や関数につながる考え方さえ、子供たちは自然に理解していくのです。


目で考える力=視考力を身につければ、子供たちはみな普通に天才なのです。




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