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 読売新聞・朝刊 教育ルネサンス (22)
           文章題 絵を描いて理解 
 2011/12/15掲載

提出したスケッチブックを、女の子が笑顔でのぞき込む。福岡市の塾「どんぐり倶楽部」。

 糸山泰造代表(52)が、「立派なチューリップが描けたね。ばっちりできた」とほめた。

 女の子が取り組んでいたのは、図画工作ではなく、算数の文章題だ。動物や虫が登場するユニークな問題がいくつもあり、子どもたちは1題だけ選び、問題を読みながら絵を描いて考える。楽しく絵に表現するため時間制限はなく、正答にもこだわらない。

 糸山さんは、かつて大手塾の講師として、計算問題は解けるが文章題は苦手という子が多いのに悩み、「思考力」とは何かと自問した。その末に行き着いたのが、こんな考えだった。「『分かる』とは、言葉から頭の中に視覚イメージを再現すること。『考える』とは、再現したイメージを自在に動かすことだ」

 「考え方」をトレーニングする教材として、独自の文章題を工夫した。年長から小6まで700題あり、週に1、2題を解く。どれもひねりの利いた問題だが、言葉を慎重に絵に表現すれば、目に見えるから「分かる」。割り算を知らなくても、お菓子を皿に分ける絵が描ければ1年生でも本質を理解するし、4年生が連立方程式を使うような問題も解けるという。

 量や速さを求めれば、手順やパターンを丸暗記してこなそうとし、考えなくなる。少し複雑な問題になり、「習ってない」「面倒くさい」と投げ出す子、「かけ算? 割り算?」と性急に答えを出そうとする子には、易しい問題から絵をゆっくり描かせる。言葉をイメージ化する習慣をつけるには、味わう感覚を取り戻す時間が必要だからだ。

 「小学生までは、多様な思考回路を作る時期。自然の中で工夫して遊び、豊かな視覚イメージを蓄積することが、人生を楽しむための基礎学力になる」と糸山さんは言う。

 考え方に賛同し、家庭や塾で「どんぐり」に取り組む人も徐々に増えている。北海道中札内(なかさつない)村の中札内小学校では、2009年から全校で、家庭学習にどんぐりの文章題を取り入れた。保護者の理解を得るのに時間がかかったが、「考える過程を大事にする教材として評価している」と中村厚喜夫(あきお)校長(56)は話す。

 イメージで考えることの効用が、少しずつ理解を広げている。(片山圭子)

 文章題の例

 ▼1年 あかいチューリップとしろいチューリップがあります。あかは、しろより3ぼんおおいです。あかは、ぜんぶで5ほんです。では、あかとしろをあわせたかずは、なんぼんになるでしょう。
(こたえ・7ほん)

 ▼3年 今日は全校CD飛ばし大会の日です。50人が一緒に飛ばします。上位3人の記録を合わせると、下位2人の合計のちょうど4倍でした。5人の記録を合わせると50メートルになりました。下位2人の差を2メートルとすると最下位は何メートルになりますか。
(答え・4メートル)




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